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道徳の心理学の関係 

道徳について、心理学ではどのような研究が実施されているのでしょうか。 

道徳とは一般的に「人間が善悪をわきまえて正しい行為を実施するために、守り従わねばならない規範の総体」と定義されています。
また、外面的・物理的強制を伴う法律と異なり、自発的に正しい行為へと促す内面的原理として働くものであるともされています。
そして、日本では「道徳の時間」として、小学校・中学校の授業としても実施されています。
学校における道徳の授業では、生命を大切にする心や善悪の判断などを学ぶものとなっており、1958年から授業としてスタートし、2015年からは学習指導要領の改正に伴って、特別の教科という位置づけになりました。 

心理学においても道徳については研究が進められています。
一般的には道徳は他者支援・非行に走らない・他者を攻撃しない・犯罪などの誘惑をはねのける等の具体的な「行動」として表現されるものです。
しかし、心理学的に重要なのは道徳に対する知識や認知であるというように考えられています。
そこで、心理学では道徳とは以下の3つの基準で構成されているとしています。 

  1. 道徳的な行動とは意図的に実施されるものである。 
  2. 道徳的な行動とは、何らかの義務感に対する反応である。 
  3. 道徳に関する義務感は、たとえ、曖昧にしか認知されていなくても、何らかの正義・公正・責任・配慮などの理想に対する反応である。 

また、心理学的な道徳とは、他者の権利や福祉に関する「道徳」という概念と、社会的相互作用を円滑にし、社会的秩序を維持する「社会的慣習」という概念を区別するべきであるという考えもあります。 

発達心理学において、精神的発達と道徳の関係についての研究も実施されています。
1つは、ジグムント・フロイトによる精神分析によるアプローチです。
精神分析では、道徳とは、文化的な規範や価値を両親との同一視の過程を通して自身の超自我の中に内面化していく過程で道徳が発達するとしています。
フロイトは道徳の発達は5歳頃のエディプス・コンプレックスの解決の結果として達成されるとしています。
また、道徳の発達は子育てや罪悪感とも関連が深いものであるとされています。

2つ目は、学習心理学(行動分析学)における社会的学習理論の観点から道徳を捉えたものがあります。
道徳は社会規範や他者志向の行為や愛他的行動と同じ概念であるという考え方です。
道徳の発達は社会規範を内面化することであり、罰と報酬を通して社会規範が学習されることで成立しているというものです。

3つ目は認知心理学的な観点から道徳を研究するというアプローチです。
認知発達の観点から、道徳は普遍的に認められている正義や博愛についての原理に基づいて、対立する意見・主張を裁定する過程であると定義しています。
そして、道徳の発達は道徳的問題について適切に理性的に考える発達段階を経ていくことで身につけらえるとしています。
認知発達理論では、子どもは環境との相互作用を通して、単独で道徳を身につけていくとされています。 

前述の3つの心理学的な道徳理論の中でも、特に認知心理学に基づく認知発達から道徳を捉えたものは、さらに発展したものとなっています。
認知心理学者のピアジェは道徳の発達を他律的な大人からの拘束による道徳観から、自律的で仲間との協同による道徳観への変化が重要な要素であるとしており、一方的な尊敬から相互的な尊敬への変化が道徳の発達の中心的なものであるとしています。
その後、心理学者のコールバーグがピアジェの理論を発展させ、子どもでも自分なりの「正しさ」の枠組を持っており、それに基づいて道徳的判断をするのではないかと述べました。
この「正しさ」の枠組は認知的な能力の発達と併行して質的に変化していくと述べています。
そして、コールバーグは道徳的ジレンマに関する理由づけの分析から,3水準6段階の道徳発達の理論を提唱しました。 

このように、心理学では、主に精神分析・学習理論・認知発達という3つの観点から道徳が研究されており、特に認知能力の発達としての道徳が重視されているのです。 


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