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心理学における「役割」とは? 

心理学において「役割」とはどのように研究されているのでしょうか 

役割とは、一般的にマクロな社会とミクロな個人をつなぐ概念であり、特定の社会構造内や社会状況下において、一定の地位の個人に対して実行が期待される行動パターンのことを指します。
では、心理学において、役割とはどのように研究されているのでしょうか。 

 心理学における役割の研究は社会心理学者のクーリーによる共感的内観による他者理解、同じく心理学者のミードによる役割取得の理論によってスタートしました。
役割取得とは周囲の他者の態度や役割や期待を自分の内部に取り込むことによって、社会から自分に要求される役割を取得し、その役割を実行するというものです。
役割取得は他者との言語的・非言語的なコミュニケーションによって達成されるものであるとされています。 

これらの初期の役割に関する研究は生物学的な役割分業論や役割決定論からはじまったものが、社会という枠組の中における社会的役割というものへと発展していきました。
そして、1920年代になると、社会学者のパークが役割を社会構造の内部でのその個人の地位と結びついたものとして、複数の役割を遂行することを通して自己が発生するという理論を提唱しました。
また、心理劇(サイコドラマ)の創始者である社会心理学者のモレノは人間の生物学的な欲求に結びついた精神的役割・身体的役割、特定状況下での特定の期待に沿ったサイコドラマ的役割、より一般的な各種の慣習的範疇に期待される社会的役割というように、役割を3つに分類しました。
そして、心理劇(サイコドラマ)という心理療法を確立し、その中で一定の役割を演じることを役割演技とよびました。
モレノは役割取得を「その役割になること」と定義しており、強制的・義務的な文脈の下で受動的に受け入れられる行動であるとしています。心理劇(サイコドラマ)では、役割演技を行ったり、相互作用の相手と役割を交替して演じたりすることによって、自分や他者に関する新たな発見が行われていき、カタルシス(浄化)が発生し、精神面の治療や診断的効果があるとしています。 

 役割には「期待されているもの」という側面があります。
これは役割期待とよばれています。役割期待とは、特定の社会的地位や社会状況が、そこに属する個人に対して一定の役割を担うことを要求するというものです。
より具体的には、ある社会的地位にある個人には、その社会的地位に期待される役割を実行することが周囲の他者から求められているというものです。
また、特定の社会的地位に限らず、一定の社会状況において、その状況に臨んだ個人に一般的に期待される役割もあるとされています。 

 もう一つ、心理学的な役割には役割葛藤というものがあります。
役割葛藤とは、ある個人の担う複数の役割が相互に矛盾する状況下では、これらの役割が対立し合った結果、当事者に対して一定の緊張が発生することを指します。 

 さらに、心理学と生物学の2つの側面から性役割というものも研究されています。
性役割とは、男女の生物学的性の1つとして社会的地位を考えた場合に、その地位に付随した社会的役割として存在するパーソナリティ特性・態度・行動などを指します。
当初、性差研究において、男女の性差は遺伝的・生物学的に形成されるものであるとされていましたが、現在ではそれだけでなく、性差は社会的期待を内面化する社会化過程によるものであるとされています。
性役割の内容は文化や時代を越えて共通する部分があることも判明しています。
これは特にジェンダー・ステレオタイプとよばれています。
代表的なジェンダー・ステレオタイプとして、男性における「知性」と「行動力」、女性における「美」や「従順」などが挙げられます。
また、リーダーシップ理論の観点から、いわゆるリーダーシップにおける目標達成機能とは男性的特性であり、リーダーシップの集団維持機能は女性的特性と対応しているとされています。
さらに、ジェンダー・スキーマという概念も近年、注目を集めています。 

 このように、役割とは実に多岐にわたる研究アプローチが実施されており、様々な「役割」が科学的に明らかとなっているのです。 


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