私たちの生活になくてはならないSNSと心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
SNSには様々な種類があり、それぞれのSNSが持つ特徴が人間の心理とどのような関係性にあるのかが研究されています。
Twitterに関する心理学的研究
Twitterを利用する人の特徴を研究したものとして、専門学校生と大学生を対象とした調査研究があります。
その結果、承認欲求が高い人ほど、Twitterを利用する傾向が強いことが判明しています。
また、Twitterのリツイートという機能に関する研究も実施されています。
様々な人々のリツイートについて分析した研究では、ツイート内容の抽象性が高い方がリツイートされやすいことが判明しています。
そして、ステレオタイプな内容のツイートはそうでないツイートと比べて、有意にリツイートされやすい傾向が認められています。

SNSでは、残念ながらネガティブな情報発信も多いものです。
そこで、Twitterにおけるネガティブな情報発信についても検討されています。
大学生・大学院生を対象とした研究の結果、Twitter上でのネガティブな自己開示を「見た側」の反応として、相手との心理的距離が近いほど、ネガティブな感情が強く生起するものの、受容的な反応も高まるということが判明しています。
一方で、相手との心理的距離が遠いほど、拒絶的な反応が強いということも判明しています。
Twitterを利用している人は増えていると同時に、現在の使い方と少し前の使い方とでは、同じSNSでも「進化」している部分があると考えられます。
大学生を対象とした研究において、Twitterに関する心理的な要因の経年変化を検討したものがあります。
この研究では、2012年と2016年の2回にわたって、いわゆる「独り言的なツイート」の持つ特徴について検討しています。
調査の結果、2012年の調査では、独り言的なツイートの頻度は私的発話傾向との関連が強いということが判明しました。
しかし、2016年の調査では社会的発話傾向との関連が認められるという変化が起きていました。
LINEに関する心理学的研究
LINEはテキストによるツールであると同時に、音声通話の機能も有しており、Twitterよりもコミュニケーション・ツールとしての側面が強いSNSであるといえます。
そのため、社会心理学的な観点に加え、教育心理学や学校心理学、コミュニティ心理学の観点からも検討される傾向があるようです。
パーソナリティ(人格・性格)に関する心理検査のうち、特に対人関係・コミュニケーションに関する特徴を把握するために使用されるものにエゴグラム(TEG)というものがあります。
このエゴグラムのパーソナリティタイプとLINEとの関係性を検討した研究が実施されています。
高校生と大学生を対象としたこの研究の結果、エゴグラムによるパーソナリティタイプとLINEにおいて既読スルーが発生した際の態度に関連が認められました。
LINEには「グループ機能」があり、集団で同時にコミュニケーションを取ることができます。
このグループ機能に着目した研究も実施されています。
大学生を対象とした研究の結果、LINEの使用量が多いほど、また、LINE上での自己演出の頻度の高いほど、LINEへの依存傾向が強いということが判明しました。
一方で、自身が参加しているLINEグループに対して所属感が獲得されることで、LINEへの依存傾向が低下する傾向が認められました。
LINEのグループ機能では、そのグループに参加していない人が、グループ内でのやり取りを直接確認することができません。
そのため、学校におけるクラスのLINEグループ内でいじめが発生していても、教師や保護者がその事実に気づきにくいという問題が発生しています。
そこで、教育心理学・学校心理学の分野では、LINE上でのいじめに関する研究が実施されています。
高校生と大学生を対象とした研究の結果、いじめにおける傍観行動は、LINE上においても通常のいじめ同様、傍観への罪悪感が抑制要因となることが判明しています。
また、いじめられている側(被害者)との親密度の違いが、傍観行動に影響を及ぼすことも分かっています。
本コラムでは、代表的なSNSであるTwitterとLINEを取り上げましたが、このように様々なSNSの流行に合わせて、SNSの心理学的な研究が進められているのです。

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