コラム

対面カウンセリングとオンライン・カウンセリング そもそも、誰に相談するのが良いのか?Part1

2020.8.6

新型コロナウィルスの影響もあり、現在、オンラインでのカウンセリングが急速に増えつつあります。
パソコンやスマホで手軽に悩みを相談できるのは非常に便利なことであり、メンタルへルスの維持・向上にも貢献すると考えられます。

しかし、対面で直接専門家と会って相談するのと、オンラインで相談するのでは、何がどう違うのか、よく分からないという方も多いかと思います。また、精神科医と心理カウンセラーは具体的に何が違うのか、心療内科とカウンセリング・ルームはどう違うのかなど、一般の方には分かりにくい部分も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はオンライン・カウンセリングの基本的なことをお伝えするにあたり、対面もオンラインも含めたカウンセリングや相談の全体について、解説していきたいと思います。
まずは、家族や友人への相談および経験者への相談について、お話していきたいと思います。

家族や友人への相談

家族や友人に悩みを相談した経験がある方は多いかと思います。
これは日常的な行動に思えるかもしれませんが、心理学的にはストレスに対して効果的であることが判明しています。
家族や友人に何かを相談することは専門用語でソーシャル・サポートとよびます。

家族や友人は専門家ではないので、専門的な見地から問題を検討したり、科学的に問題を解明したりすることができません。しかし、悩みを改善・解決することができなかったとしても、「誰かに悩みを相談した」ということ自体にストレス軽減効果があります。

また、「私には悩みを相談できる相手がいる」という認識を持っているだけでも、ストレス軽減効果があることも判明しています。
家族や友人への相談は「悩みを解決すること」を一番の目標に置いてしまうと、相談される側も重荷になってしまうかもしれません。

しかし、ソーシャル・サポートという観点から、悩みを一人で抱え込まずに「とにかく、誰かに話す」や「自分には相談相手になってくれる人がいるんだと思う」という部分をクローズアップすると、充分なメンタルケア効果を発揮すると考えられます。

また、オンラインという観点からも、メールやLINEなどで家族や友人に悩みを相談することにも、ある程度のストレス軽減効果があります。自分と同じ悩みを抱えている人、さらに言えば、同じ悩みを克服した人に相談するというのも、効果的な選択肢であるといえるでしょう。

恋愛相談なら恋愛経験が豊富な人、子育ての相談なら同じくらいの年齢の子どもを持つ母親、会社経営の相談なら経験豊富な経営コンサルタント、というわけです。経験者 = 専門家では必ずしもありませんので、身近な家族や友人にも「経験者」はいる可能性があり、比較的簡単に適切な相談相手を見つけることができかもしれません。

経験者に相談する

経験者に悩みを相談する際に気を付けなければならないのは、あくまで「個人の経験」に依拠した相談対応しかできないということです。
たとえば、外科医は自分が骨折した経験があるから外科医をしているわけではなく、医学という科学的な背景をしっかりと習得した上で、専門家としての対応を実施しています。

経験者には専門性やアカデミックな背景が薄いことが多く、非常に狭い幅でしか相談対応ができないケースが多いです。人によっては「自分はこれで良くなったんだから、あなたも同じようにすれば絶対に良くなる」という一方的なアドバイスや、そこから派生した商品・サービスのセールスを行っているという問題もあります。

また、経験者からのアドバイス通りにして、仮に改善が見られなかった場合、経験者にもそれ以上の知見がないので、行き詰ってしまうことになります。これに対して、医師やカウンセラーなどの場合、Aというアプローチで解決しなければ、Bというアプローチに変更というように、豊富な知見から相談対応を実施してくれます。

また、オンライン・カウンセリングという観点から考えると、経験者に相談するというコンセプトは投稿型の質問WEBサイトなどに投稿し、それに対する回答を得るというのが身近な例であると言えます。

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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