父の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。2025年6月15日は「父の日」となっています。父の日は厳密には日本やアメリカでは6月の第3日曜日となっており、2025年は6月15日となっています。父の日には様々な起源があり、1910年にアメリカのソノラ・ドットが母の日のように父にも感謝する日をという趣旨で提唱したの始まりであるとされています。が始まりとされています。
そして、アメリカの第28代大統領であるウッドロウ・ウィルソンが父の日の祝典に出席し、そこで父の日に関する演説を実施したことで一般に父の日という記念日の認知が広まったきっかけとなったとされています。また、1966年にアメリカ第36代大統領であるリンドン・ジョンソンは父の日を称賛する大統領告示を発し、6月の第3日曜日を父の日に定めており、その後、1972年にアメリカでは正式に国の記念日に制定されています。
では、父や母などの親と子ども関係性と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
家族に関する定義や概念は、心理学の分野においても時代とともに常に変化しています。現代社会において、より複雑で多様化している家族の構造や役割に対して、心理学では家族心理学の研究成果や家族療法による治療・支援などが活かされています。また、国際家族心理学会では、家族は「本人同士・自分たちが家族であるということで了解し合っていること」と定義しています。家族は国や地域、社会の影響を受けると同時に、時代背景の影響も強く受けるものです。従って、家族の形は日本とアメリカでは異なり、また50年前の日本と2025年の現在の日本では大きく異なります。
日本において、家族の持つ役割は大きな変貌を遂げています。たとえば、父親や母親の役割として、子どもの養育や教育が挙げられます。これを50年前の家族構造と役割分担と比較すると、現在はかなりの割合で、いわゆる外部委託が実施されています。保育園や幼稚園に通う子どもは、50年前とは比べものにならないくらい増加しており、その分、それまで父母が担っていた養育や教育を保育士等が肩代わりしているということになります。また、食事をする場所や時間が50年前であれば家族間でかなりの割合で共有されていたわけですが、現在は外食も多く、家族がいたとしても個別に食事をする、いわゆる孤食(個食)も増えています。
このように、衣食住や養育・教育の場としての家族・家庭というものが、時代が進むにつれて「外へ」と広がり、それに伴って父母の持つ役割や、親子の関係も変化しています。また、かつては、子どもとは夫婦にとって「授かる」ものであり、夫婦間の選択や意思決定に左右される要素が希薄でした。しかし、現在では夫婦にとって、子どもは「授かる」ものから「つくる」ものに変化しています。そのため、たとえ結婚したとしても子どもは持たないという選択・意思決定をする夫婦も増えています。逆に不妊治療や体外受精、代理母出産などの様々な手法を試みながら、絶対に子どもを持ちたいという選択・意思決定に基づいて行動している夫婦も存在します。「授かる」という形式を主とするこれまでの家族形式における子どもとは、社会的な価値を持つものでした。それに対して「つくる」という形式を主とする家族形式における子どもは、夫や妻にとっても個人的な価値を持つものへと変わってきているのです。
一方で、時代を経ても変わらない家族の役割というものもあります。それは、情緒的な安定性が得られる場としての機能や、外部環境でも通用するような親密な対人関係について学習する場としての機能です。これらの機能は家族という構造に期待される役割であり、時代を経ても家族というものに対する期待感には、ある程度の不変性があると考えられます。しかし、期待感は変わらずとも、期待通りの情緒安定性や親密な対人関係が得られなくなっています。それは、家族の持つ役割が外部機関へと移行していることや、家族ではあっても個人の時間や空間を重要視していることが関係しています。このように常に変化し、多様化・複雑化している家族について研究するのが家族心理学です。
家族心理学については、こころ検定1級の公式テキストである応用生活心理学の中でも概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。