コラム

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零細・中小企業デーと心理学の関係

2025.6.26
  • ストレスチェック制度
  • こころ検定1級

零細・中小企業デーと心理学には、どのような関係があるのでしょうか

【目次】

6月27日は「零細・中小企業デー」

ストレスチェック制度について

まとめ

 

5月18日は「ことばの日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。6月27日は「零細・中小企業デー」となっています。これは2017年4月の国連総会で制定されたものであり、日本における記念日だけではなく、国際デーに含まれるものとなっており、英語表記は「Micro-, Small and Medium-sized Enterprises Day:MSME Day」となっています。この日は零細・中小企業の重要性を認識し、これらの企業を支援するための意識と行動を高めることが目的となっています。

零細企業や中小企業の定義は国や業種によって異なりますが、日本では零細企業は経営規模の極めて小さな企業となっています。そして、法的区分としては小規模企業者というに該当し、卸売業・サービス業・小売業では従業員の数が5人以下、製造業・建設業・運輸業・その他の業種では20人以下となっています。そして、これらの零細・中小企業が日本やヨーロッパなど世界中のほとんどの経済の基幹であり、発展途上国において重要な役割を果たしています。零細・中小企業の数は全企業の90%以上であり、雇用者の60~70%、国内総生産(GDP)の50%を占めるとされています。零細・中小企業は、世界中で重要な雇用と所得創出の機会と責任を担っており、貧困緩和と開発の主要な原動力として認識されいます。これらの企業は女性・若者・貧困家庭の人など、弱い立場の労働者を多く採用する傾向も強いです。

では、零細・中小企業と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

家族心理学における「家族」について

2015年に前年の労働安全衛生法の改正を受けて、ストレスチェック制度が義務化されました。ストレスチェックは常時使用する労働者が50人以上いる事業所において、年に1回、条件を満たしたアンケート(調査票)を使用して、仕事に関するストレスを測定・評価するというものです。また、その結果、高ストレス者と判定された労働者には産業医との面談が推奨され、最終的にストレスチェックに関する結果を報告書としてまとめ、労働基準監督署に提出することが義務づけられています。このストレスチェックは前述の通り、常時使用する労働者が50人以上の事業所に義務付けられているものであり、いわゆる、零細企業や中小企業はその義務の対象外となっています。ただし、零細企業や中小企業は「ストレスチェックをしなくても良い」ということではなく、常時使用する労働者が50人未満の場合は、努力義務として定められています。

そして、このストレスチェックに関して、2025年に大きな動きがありました。2025年3月14日に政府は労働安全衛生法の改正を決定しました。そして、この改正の中でストレスチェックの義務の範囲の変更が明記されています。より具体的には、これまでの常時使用する労働者数が50人以上という枠組がなくなり、労働者数に関係なく、全ての事業所でストレスチェックを義務化するということが予定されています。なお、労働安全衛生法の改正が決定してはいるものの、実際にいつ改定されるかは未定となっています。

このストレスチェックの改正により、それまで取り組みを実施していなかった零細企業や中小企業もその対象となっていくことになります。ただし、零細企業や中小企業は法的に産業医などの産業保健スタッフの選任などの義務がないため、ストレスチェックに関する様々な業務を担当する人材が存在しないという状況があります。従って、このまま単純に現状のストレスチェック制度を零細企業や中小企業にそのまま当てはめて進めて行くことは難しいと考えられます。そこで、ストレスチェック制度だけでなく、その周辺にある産業場面におけるメンタルヘルス対策や労働者の健康管理に関する法律や制度も合わせて改正されていく可能性があります。

 

まとめ

ストレスチェックについては、こころ検定1級の公式テキストである精神予防政策学の中で概観していますので、興味・関心のある方は、勉強してみていただければと思います。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。