コラム
胃腸の日と心理学の関係
2025.12.25- こころ検定2級
- ストレス
- メンタル
胃腸の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
12月11日は「胃腸の日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月11日は「胃腸の日」となっています。これは日本大衆薬工業協会（現：日本OTC医薬品協会）が2002年に制定したものです。日付の由来は「いに（12）いい（11）」（胃にいい）の語呂合わせからきています。師走のこの時期に一年間を振り返り、大切な胃腸に負担をかけてきたことを思い、胃腸へのいたわりの気持ちを持ってもらいたいという日となっており、胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどをアピールすることを目的としています。
日本OTC医薬品協会では、委員会活動を中心としてOTC医薬品の正しい使い方の広報活動、薬の説明書の読みやすく分かりやすい表現方法の研究などOTC医薬品についてのあらゆる問題を取り上げ、検討しています。また、国際的な視野に立ち、世界セルフメディケーション協会などの国際的な組織団体との交流を深めることも、その事業目的に掲げています。
では、胃腸と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
胃腸ケアでストレス対策
よく、ストレスで胃が痛い、お腹が痛い、ということがあるかと思います。胃腸はストレスによるダメージを受ける身体部位として、身近な臓器であるといえます。では、具体的にどのような疾患・症状があるのでしょうか。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍はストレスの影響で発症することが多いとされています。ただし、胃腸は内臓なので、内科的要因や感染症などの影響も大きいです。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者の約90％がヘリコバクターピロリ菌への感染が認められています。従って、胃潰瘍や十二指腸潰瘍はまず感染症が疑われるわけです。ヘリコバクターピロリ菌に感染するとストレスに対する粘膜の抵抗力が低下してしまいます。そして、粘膜の防御力が低下することで消化液の酸性とのバランスが崩れてしまい、表面だけでなく深部まで傷ついた状態である潰瘍ができてしまいます。具体的な症状としては、胸からお腹にかけての痛みや不快感、胸やけなどです。痛みの症状に関しては、胃潰瘍の場合は食後に多く、十二指腸潰瘍の場合は夜間や空腹時に多いです。
過敏な腸に寄り添う生活
過敏性腸症候群はストレスが直接の原因となるのは約10％程度であるとされています。しかし、ストレスが原因の場合、症状の持続や悪化がストレスの程度と強く関連することが判明しています。過敏性腸症候群には、心理・社会的な要因が疾患の経過・治療の障害・健康上の危険因子となるかどうかが、心身症としての過敏性腸症候群の診断基準となっています。加えて、腹痛や腹部の不快感などの共通する症状の他に、便秘型・下痢型・混合型・分類不能型という便通異常の種類によって４つの下位分類があります。また、一般的に男性は下痢型が多く、女性は便秘型が多いとされています。
口臭の悩み、心が原因？
心身症の一種に口臭症というものがあります。これは患者自身が口臭の存在を訴えるものの、実際には口臭は確認できないというタイプと患者自身が口臭の存在を訴え、実際には口臭が確認できるタイプの２つのタイプがあります。口臭は胃腸の不調に伴って発生することが多いですが、これは実際に臭いを伴います。一方で口臭症は実際には臭いが存在しないケースもあります。従って、実際には口臭は確認できないタイプが心身症としての口臭症であると定義されています。
心身症としての口臭症発症までには次のようなメカニズムが考えられます。まず、一時的に虫歯や胃腸の不調などによって、実際に口臭を自覚したり、他者から口臭を指摘されたりするという出来事があります。続いて、患者がそのような状況に対して、不安や羞恥心を感じるという経験をします。その後、口臭自体はなくなったにもかかわらず、不安や羞恥心だけが残り、対人接触などを回避するなどの行動が発生してしまいます。これが繰り返されることで、口臭に対する不安・羞恥心と対人関係上の問題行動（回避など）がセットで引き起こされてしまい、存在しない口臭に対する病的な反応が学習されてしまうわけです。
まとめ
このように、胃腸とそれに関する症状についても、心理学・精神医学の観点から研究や治療実践が進められているのです。
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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。