国際子どもの本の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日のすべてに、何らかの記念日が制定されています。4月2日は「国際子どもの本の日」に定められています。これは、スイスのバーゼルに本部を置く国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People:IBBY)が、1967年に制定したものです。日付の由来は、デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日が4月2日であることにあります。
この日は、子どもの本を通して国際理解を推進することを目的としており、IBBYに加盟する各国支部によって、記念のポスターとメッセージが作成され、世界中に発信されています。また、日本では絵本週間推進協議会が、この日を挟んだ2週間を「絵本週間」として、さまざまなイベントを実施しています。
では、子どもと本の関係について、心理学ではどのような研究が行われているのでしょうか。
発達心理学の研究によると、幼児期から読書を楽しむ習慣のある子どもは、認知機能が高く、思春期以降の精神的健康も良好であることが明らかになっています。これは、読書によって記憶・言語・注意力などの発達が促されるだけでなく、メンタルヘルスの安定にもつながる可能性があることを示唆しています。また、日本における研究では、本を多く読む子どもほど精神的回復力(レジリエンス)が高いという縦断研究が報告されており、特に経済的困難を抱える子どもにおいて、その効果が顕著であることが示されています。これらの研究結果は、読書が単なる学力向上にとどまらず、状況を客観的に捉えたり、感情を整理したりする力を育み、結果として心の強さや柔軟性を育てる可能性があることを示しています。
メンタルヘルスの不調やネガティブな状況に関する研究では、読書能力が低い子どもは、不安や抑うつなどの症状、ならびに行動上の問題が多いことが報告されています。ただし、この関連は単純な因果関係ではなく、読書能力に加えて自己肯定感など、他の心理的要因とも複雑に関連していることが指摘されています。
親が子どもに本を読み聞かせるなど、親子で本を読む体験を共有することは「共有読書」と呼ばれます。日本における大規模出生コホート研究では、乳児期から絵本を一緒に読む頻度が高い子どもほど、言語・運動・社会性など、全体的な発達水準が高いことが示されています。これは、読み聞かせという行為が、単に文字や文章を理解する能力を高める以上の効果をもつことを示しており、親子間の相互作用が発達を支える重要な要素であることを示唆しています。また、読み聞かせには、他者の視点や感情の理解を促進する効果があるともされています。このように、読み聞かせは感情理解や共感、社会的理解といった精神発達にも寄与する可能性があると考えられます。
子どもの読書や読み聞かせは、親子関係や対人関係における安心感、さらには社会的スキルとも関連しています。読み聞かせを通して、子どもは大人との対話や共感的な関わりを体験することになります。これは、心理的・情緒的な安心感を育てる重要な要素となります。発達心理学の研究においても、読み聞かせの場面が親子の信頼関係の形成や情緒の安定に結びつくことが報告されています。このように、共有体験としての読書は、子どもの「心の安全基地」を育み、ストレス耐性を高める効果があると考えられます。
では、なぜ読書は子どもの心理状態にさまざまな影響を及ぼすのでしょうか。子どもが読書を通して物語の登場人物の気持ちや葛藤に触れることで、自分自身や他者の感情を識別し、調整しやすくなると考えられます。その結果、共感性や感情コントロールの発達と深く関係するとされています。また、読書は集中して物語世界に没入する活動であり、成人を対象とした研究では、ストレスを低下させる心理的効果が報告されています。子どもにおいても、読書によってリラックスや安心感が得られる可能性があると考えられます。さらに、共有読書は、親が子どもに注意を向ける時間を確保する直接的な相互作用の機会ともなります。
このように、心理学では子どもと本の関係、読書や読み聞かせについて、さまざまな観点から研究が行われています。

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。