心理学の辞書に掲載されている用語の中には、私たちが日常生活で当たり前のように使っている言葉を少し違った観点から捉えているものがあります。
そんな「よく耳にする言葉の心理学的側面」について解説したいと思います。
最近では「スマホのアカウント」や「メールのアカウント」などのような意味合いでアカウントという言葉をよく耳にするかと思います。
「アカウント」という言葉には広義にも様々な意味がありますが、心理学では、主に社会心理学の分野において「言い訳」や「釈明」という意味で使われることが多いです。
より専門的に述べると、望ましくない不適切な行動や期待はずれの行動が生じた場合、その行為と期待の間のギャップを埋め合わせるために、不適切・期待はずれな行動の実施者自身が行う言明・弁解・言い訳・正当化などを指して「アカウント」とよびます。
また、心理学者のハーヴェイらは「物語のような構成で、筋書き・登場人物・時間的な系列・帰属・感情表現などを含むもの」としてアカウントを定義しており、ストレスを感じるような出来事の後に行われる対処(コーピング)の過程において重要な意味を持つとしています。
官僚という言葉は日本に特有のものに感じるかもしれませんが「bureaucracy」という英語表現があり、日本以外でも使われている言葉です。
官僚制とは、整然と階層化された権限関係とそれに伴う責任を背景として、支配と服従関係によって秩序づけられたピラミッド型の組織制度を指す言葉です。
官僚制に基づく組織は、目的達成に向けての合理的な規則による支配と、職務の分業化および専門化による明確な階層性が存在します。
従って、官僚制のピラミッドの頂点に立つのは全知全能の管理者であり、下方に向かって支配と服従を基本とする細分化された階層構造が形成されるわけです。
ピラミッドの中にいる各成員の職務は階層の中での地位に応じて細分化され専門化されます。
この階層構造の中では、原則的には各成員はそれぞれただ一人の上司から命令を受けるため、成員間のコミュニケーションや横のつながりは少なく、個人の裁量の余地も小さいという特徴があります。
官僚制は組織の能率と合理性を追求する上で、優れた管理システムであり、組織運営の基本理念であるということができますが、行き過ぎた官僚制は没個性化による仕事からの疎外感や、成員間の責任のなすりあいを生むもとにもなるとされています。
そのため、学術的に定義される官僚制は「極端な方」であり、実社会でそのまま学術定義通りに官僚制で運営されている組織は少ないです。
しかし、政治・経済の分野において、ニュースとして取り上げられる事件・事故・不祥事などの背景に「極端な方」の官僚制の抱えるデメリットがある場合が多いのではないでしょうか。
帰国子女という言葉が公的に認知されたのは、1965年に東京学芸大学附属大泉中学校に帰国子女学級が新設されたのが最初ではないかとされています。
それまでは「在留邦人子弟」や「海外勤務者子女」 あるいは「外国から帰国した児童・生徒」というようによばれていました。
また、帰国しておらず、海外に在住している児童・生徒は「海外子女」とよばれていました。
異文化の中で人間形成をしている帰国子女は、心理的に様々な問題に直面することがあります。
たとえば、外国語の学習・母語の習得・種々な教科の学習・パーソナリティの形成・アイデンティティの形成などです。
帰国子女は日本の文化と外国の文化の狭間にあり、大きな可能性を拓くとともに、深刻な問題にも直面することになります。
また「子女」という言葉が示す通り、まだ「大人」ではなく、精神的な急速な発達過程の途上にある「子ども」であるということも、大きな影響を及ぼす要因となっています。
さらに、帰国した時に直面する高校や大学の入学試験、就職なども、帰国子女の大きなストレス要因となります。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。