様々なメンタルへルス・セルフケア（３）

メンタルへルスを維持・向上させるための方法には、自分一人でも実行できるセルフケア・アプローチがいくつかあります。
手軽に実行できるものでも、科学的なエビデンスに基づいたものには効果があることが判明しています。
本コラムでは、そのうち、いくつかを紹介していきたいと思います。 

７. 身体と心のバランス感覚の連動 

心理学における研究の結果、身体の姿勢と感情には関連があることが判明しています。
実験の結果、背筋を伸ばしたり、胸を張ったりするとネガティブな感情が減少することが判明しています。
また、前かがみの姿勢になると、人間は計画性や実行力に関する脳の部位の機能が低下することも判明しています。
さらに、以下のような簡単な体操で自分の身体の「中心」を感じ、身体感覚に意識を集中させてみることで、ストレス軽減効果があることも判明しています。 

1. 背筋を伸ばして真っすぐに立つ 
2. 身体を真っすぐにしたまま、少しずつ前傾姿勢になる 
3. これ以上、前傾にはできないというところで止めて、数秒間、その姿勢を維持する
4. ゆっくりと元の真っすぐな姿勢に戻る 
5. 真っすぐな姿勢に戻ったら、今度は徐々に後ろに姿勢を傾けていく 
6. また、ゆっくりと身体を元の真っすぐな姿勢に戻していく 
7. さらに、また徐々に前傾姿勢にしていく 
8. この「真っすぐ」「前傾」「後傾」をゆっくりと３回繰り返す 
9. リラックスした状態で静止したままの姿勢を維持する 
10. この際に、足の裏の感覚に注意を向ける 
11. 足の裏の感覚を意識しながら、少しずつ姿勢を変えたり、揺らしたりする 
12. この際に、足の裏に意識を集中しながら、自分の身体の「中心」を感じるようにする 
13. ゆっくりと姿勢を変化させながら、心地よい「中心」を探す 

このような身体感覚への意識の集中が、感情を変化させる効果を持ち、メンタルへルス的な観点からもセルフケアに活用できることが分かっています。 

８. 直感に従う 

よく「第６感」という言葉が使われることがありますが、心理学では「第１感」という用語があります。
この「 第１感に従う」ことが実はストレス軽減に効果があることが判明しています。
「第１感」とは、何も考えずに選択するということを指します。

研究の結果、脳の線条体という部分が直感と習熟の両方に深く関係していることが判明しています。
つまり、私たちの直感はこれまでの経験に基づいて蓄積された知識によるものなのです。
自分自身では気づいていないレベルの無意識な行動でも、実は直感に従ったものの場合、過去の経験などの蓄積が適切と思われるものを選ぶことができるのです。

私たちには、自分でも分からないレベルで、最適な判断ができる適応的無意識という能力があるのです。
しかし、この「第１感」は習熟と関連しているため、しっかりと勉強・練習をした上で、自分の身に着いた事柄ではないと、「第１感」には反映されないので注意が必要です。 

９. 充分な休養 

休養をとって安静にすることは、心身の健康にとって非常に重要です。
人間の身体が安静でリラックスしているかどうかを確認する指標には、脳波のα波や副交感神経などがあります。
現在は、様々な先端技術を活用することで、リラックスの状態を数値化・視覚化することができます。 

そして、心理学における研究の結果、休養・安静について様々なことが判明しています。

たとえば、生理心理学の研究の結果、人間は目を閉じるだけでも脳波はα波が多くなるということが判明しています。
α波はリラックスした状態で多くなるものですが、それが目を閉じるだけでも発生するのです。
私たちは五感であらやる外界の情報を収集し、それを脳で分析しています。
五感の中でも、私たちは特に目から入ってくる情報に非常に頼っているため、目から大量の情報を収集・分析しています。そのため、目をつぶるだけで、入ってくる情報が制限されるため、リラックスすることができるわけです。 

また、座ったり、横になったりするだけでも、血圧が低下することが判明しています。
これも簡単にリラックスできる方法の１つです。
そして、最も重要なリラックスの方法は、やはり睡眠です。睡眠はあらゆる心身の疾患と関連することが判明しています。
しっかりと睡眠をとることで、副交感神経が優位になるタイミングがしっかり確保できます。それによって、反動（バランス）で交感神経も活性化することになり、自律神経が活性化し、いわゆる「元気」な状態になることができます。 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部

「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。