登山の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
日本では、365日のすべてに何らかの記念日が制定されています。
10月3日は「登山の日」です。これは1992年に日本山岳会が制定したもので、日付は日本山岳会が1905年10月に発足したことと、「と(10)ざん(3)」と読む語呂合わせに由来しています。この日は、山に登ることで雄大な自然に触れ、自然の素晴らしさを知り、その恩恵に感謝する日とされています。
登山とは、山に登ることに楽しみを求め、登ること自体を目的とするものであり、近代ではスポーツの一種となっています。その形態は多岐にわたり、雪のない時期のハイキング、トレッキング、縦走登山といった比較的平易なものから、雪山登山、山スキー、沢登り、藪漕ぎ、岩登り(ロッククライミング)、アイスクライミング、フリークライミング、トレイルランニングなど、難易度が高く技術や経験を要するものまであります。
レクリエーションとしての登山の魅力は、ゆっくりと傾斜を歩くことによる有酸素運動や新陳代謝の活性化、そして景観や自然の風景そのものを楽しめることにあります。ほかにも、リラクゼーション効果のある森林浴や、ともに登る仲間との交流を楽しむなど、目的は人によって千差万別です。
では、登山と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
登山の心理的な効果として最も明確なものに、ストレス軽減効果が挙げられます。
登山では、森林や山岳の景観を見る、鳥のさえずりや川の音を聞く、日光を浴びる、規則的な歩行運動を続けるといった複数の要素が組み合わさっています。これらはコルチゾールの分泌を低下させ、緊張感を和らげ、リラックス感を高めることがわかっています。
また、心理学には「注意回復理論」という考え方があります。これは、自然環境が疲れた脳の注意機能を回復させるという理論です。
長時間のデスクワークや勉強を続けると、集中力やワーキングメモリー、判断力が低下してしまいます。登山では自然の景色が穏やかな注意状態を引き起こし、脳を休ませることができるため、集中力や創造性、問題解決能力の改善が期待できるとされています。
さらに、登山には自己効力感を高める効果もあります。
急坂を登る、疲労を乗り越えて前に進む、山頂に到達するといった経験を通して、「努力すれば困難を乗り越えられる」という感覚が育ちやすくなります。これはレジリエンス(精神的回復力)や自信、チャレンジ精神にも良い影響を及ぼします。
近年の研究では、登山にマインドフルネスの効果があることも示唆されています。登山中は、足元を見る、呼吸を意識する、風を感じる、景色を眺めるなど、「今この瞬間」への注意が自然と高まります。
これはマインドフルネスに近い状態であり、反すうや心配、ネガティブな思考の減少につながる可能性があります。
登山は一人で行うこともありますが、グループで楽しむこともあります。
グループ登山では、励まし合う、助け合う、共通の目標を達成するといった経験によって、孤独感や社会的不安の軽減が期待されます。また、同じ景色を共有する体験は、互いの信頼感を高めることも示唆されています。
睡眠の観点からも、登山には良い効果があることがわかっています。
十分な身体活動、朝の日光、体温リズムの変化などによって、寝つきや深い睡眠、睡眠効率が改善しやすいと考えられています。睡眠の改善は、気分や記憶などにも良い影響を与えます。
さらに、継続的な登山は有酸素運動、バランス能力、空間認知、計画能力などを同時に使うため、高齢者の認知機能の維持に寄与することが期待されており、認知症予防にもつながる可能性があると考えられています。
このように、心理学では登山についてもさまざまな角度から研究が進められています。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。