心理学の研究は一風変わった側面から物事を捉え、面白い結論を導き出しているものがあります。
心理学に関する研究は、私たち人間の“滑稽さ”や“上手く行かない歯がゆさ”についても、様々な角度から教えてくれます。
アメリカの脳科学者・神経学者であるクレイグ・ベネット、アビゲイル・ベアード、マイケル・ミラー、ジョージ・ウォルフォードらは、どんな対象(例:死んだ魚の体内)でも、意味のある脳活動を測定することができるという驚くべき研究成果を発表しました。
fMRIなどの精密機器が普及することで、人間など生物の脳内の血流反応を計測し、脳の活動を画像へと視覚化して研究することは盛んに実施されています。
しかし、fMRIのデータを統計解析して視覚化する際に単純な統計手法を用いることが多く、その結果として間違った結論を導き出ている可能性があると指摘されてきました。
ベネットらは、この問題を解明するために、スーパーで買ってきた鮭をfMRIでスキャンし、そのデータを非常に単純な統計解析を行うことで、死んだはずの鮭の頭の中に、外部の刺激に反応して活動している領域があるというデータが得られてしまったということを発表しました。
フランスのローラン・ベグ、ウルマン・ゼルフーニ、バティスト・スブラ、メディ・ウラバー、アメリカのブラッド・ブッシュマンらは、お酒を飲んだことで自分は今、酔っぱらっていると感じている人は、同時に自分は魅力的な人間だと思ってしまっているということを、実験によって明らかにしました。
ウエスタンシドニー大学のピーター・K・ジョナサン、リバプール・ホープ大学のエイミー・ジョーンズ、ミナ・ライオンズらは、日常生活において習慣的に夜遅くまで起きている人は、朝早く起きている人々に比べて、自己賞賛的で、より巧みに他者をコントロールする(操る)傾向があることを明らかにしました。
心理学者のエヴリーヌ・デベイ、マールテン・デ・シュライヴァー、ゴードン・ローガン、クリスティナ・スホツキ、ブルノ・フェルスフエレらは、1000人を対象にウソをつく頻度を尋ね、またこのアンケート結果がどれくらい信憑性のあるものなのかを信じられるか検討しました。
その結果、ウソをつく頻度と能力は、幼児期から発達しはじめ、思春期をピークとして、年齢を重ねるのに伴って減少していくことが明らかになりました。
ウソをつくということにも精神的な発達が関係しているということであり、発達の過程における重要な要素であると考えられます。
日本の心理学者である東山篤規と足立浩平は、前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、違って見えることを明らかにしました。
上半身を前に折り曲げて股の間から見ると、風景や物の遠近感が消えて実際より小さく見える錯視(股のぞき効果)が起きます。
さらに、プリズムを使って上下左右が逆に見えるようにした「逆さ眼鏡」をかけて股のぞきをすると、景色は普通に立って見た時と同じであるにもかかわらず、股のぞきをした時と同じ錯視が起きることも明らかになりました。
股のぞき効果の原因は前傾姿勢であり、姿勢などの体感が視覚に影響していることの代表的な例であると考えられます。
イタリアのマッテオ・マルティニ、イラリア・ブファラーリ、マリア・アントニエッタ・スタツィ、サルバトーレ・マリア・アグリオティらは、多くの一卵性双生児に自分たちの移った写真を見せ、自分を識別できるかを実験しました。
その結果、実験参加者である双子の多くが、写真に写った2人のどちらが自分かを視覚的に識別できないということが明らかになりました。
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