コラム
デジタル放送の日と心理学の関係
2025.12.11- ストレス
- メンタル
- 心理学
デジタル放送の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
12月1日は「デジタル放送の日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月1日は「デジタル放送の日」となっています。これは地上デジタル放送推進協会（現：デジタル放送推進協会）と総務省が2006年に制定したものです。この日は2000年にBSデジタルの本放送、2003年に三大都市圏での地上デジタル（地デジ）の本放送が開始された日であり、2006年のこの日には全都道府県で地デジ放送が開始されたことが由来となっています。この日はデジタル放送に対する理解を深め、その発展と普及を図ることが目的となっています。
では、デジタル放送を実施しているテレビと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
映像が現実を変える力
心理学の中でもテレビやマスコミについては、特に社会心理学において研究が実施されています。マスコミは現代社会における社会的他者の一形態であり、人々の認知・態度・価値観・行動に大きく影響するものであると定義されています。そして、テレビを通じた社会的影響、説得や態度変容などの研究が実施されています。
テレビが及ぼす心理的影響に関する代表的な理論に培養理論というものがあります。これはジョージ・ガーバナーが提唱した理論であり、長期間、テレビの視聴（接触）をしていると、テレビで描かれる世界観を現実だと信じるようになるというものです。たとえば、犯罪関連の番組や暴力的なドラマを多く見る人ほど、実際の社会を「危険で暴力的」と感じやすいという事例があります。特にこれを恐ろしい世界症候群とよぶこともあります。また、日本ではいわゆるワイドショーを長年視聴している人ほど社会不安が高いという研究報告もあります。
選んでいるつもりで選ばれている
マスコミに関する社会心理学的研究に関する代表的な理論として、アジェンダ・セッティング理論というものがあります。これはマックスウェル・マコームズとドナルド・ショーが；提唱したものです。この理論はマスコミとは「何を考えるか？」ではなく「何について考えるか？」を決定する力を持つというものです。つまり、ニュースで頻繁に扱われるテーマほど人々の関心が高まることになるということです。たとえば、連日にわたって米の価格高騰が報道されることで、人々の経済的な関心物価高に集中するというのは、アジェンダ・セッティング理論で説明ができるわけです。なお、現在はマスコミによるニュースだけでなく、SNSのトレンド機能も同様の機能を持つと考えられています。
また、カッツらが提唱した利用と満足理論では、情報の受け手は受動的ではなく、自分の欲求を満たすために能動的にメディアを選択していることを示唆しています。そして、私たちがメディアの利用動機として、情報獲得（ニュース）、娯楽（バラエティ・ドラマ）、社会的交流（話題共有）、自己確認（自分の意見の裏付け）などが挙げられます。そして、アジェンダ・セッティング理論と同様に、現在はYouTubeやSNSの利用動機も重要な要素となっています。
沈黙の連鎖が世界を変える
メディアに関する研究として、沈黙の螺旋理論というものがあります。これはノエル・ノイマンが提唱したものであり、多数派意見がメディアで繰り返し提示されることで、人間は自分の意見が少数派であると感じ、沈黙してしまうというものです。その結果、多数派のように見える意見がさらに強化されることになります。たとえば、テレビで語られる政治的意見や芸能人のコメントなどが世論形成に強く作用する可能性が指摘されています。
テレビにおける報道と態度変容に関する研究も実施されています。たとえば、説得とメッセージ研究では、メッセージの信頼性・話者の専門性・映像の感情的要素などが視聴者の態度変化に影響することが判明しています。
テレビが感情やストレス、幸福感に及ぼす影響についても研究が実施されています。研究の結果、テレビには二面性があり、ポジティブな効果として娯楽・共感・リラクゼーションなどの効果がある一方で、ネガティブな効果として過度なニュース接触による不安・怒り・抑うつなどがあります。
まとめ
このように心理学では社会心理学を中心にテレビ・マスコミ・メディアについて、様々な角度から研究が実施されているのです。
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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。