コラム

対面カウンセリングとオンライン・カウンセリングとは Part1

2020.11.30

新型コロナウィルスの影響もあり、現在、オンラインでのカウンセリングが急速に増えつつあります。パソコンやスマホで手軽に悩みを相談できるのは非常に便利なことであり、メンタルへルスの維持・向上にも貢献すると考えられます。

今回は、現在、主流となっている様々なオンライン・カウンセリグについて、2回に分けて解説したいと思います。

≪電話カウンセリングなど≫

厳密には「オンライン」ではないですが、電話などのツールも昔からカウンセリングで活用されています。
また、現在はほとんど実施されることがない、手紙やFAXによるカウンセリングというものも、かつては行われていました。

手紙に関して言えば、往復書簡という形式で精神分析の創始者であるフロイトが実施していたことでも知られています。
手紙やFAXも非対面ではあるものの、厳密にはオンライン(インターネット)ではないツールになりますが、より利便性の高いメールやLINEなどが活用できるようになったことで、カウンセリング以外の一般的な利用自体も減ってきています。

電話カウンセリングは直接カウンセラーとクライエントが顔を合わせることがないので、音声のみによるコミュニケーションとなり、相手の表情や視線の動きなどの重要な情報は伝わりません。
しかし、メールのように文字だけのツールに比べれば、声のトーンなどの情報が活用できるというメリットがあります。

ただし、電話料金が発生してしまうケースもあるので、カウンセリング料以外にもお金が発生してしまうこともあります(※無料電話ツールを使うこともできます)。
電話カウンセリングも、直接対面によるカウンセリングとは異なる特徴があるため、電話カウンセリング独自の知識や技術が必要になります。

ただし、そのような知識・技術を習得しているカウンセラーの数は少ないのが現状です。
電話カウンセリング自体は今後も消滅することなく存続し続けるものではありますが、主流のアプローチではなくなりつつあります。

その理由の1つとして、10代・20代の若い層は、ほとんど電話をしなくなっており、その代わりにLINEなどを活用している人が非常に増えていることが総務省の調査などでも判明しています。
時代の変化に合わせて、カウンセリングのツールも変化していくわけです。

≪メール・カウンセリング≫

メール・カウンセリングというものが普及してきており、特に企業内メンタルへルスの観点から、自社従業員のストレス対策に活用事例が増えています。
メールは文字のみのコミュニケーションなので、直接対面する形式のカウンセリングに比べると、圧倒的に得られる情報に制限があります。

また、ツールとして時間の使い方にも特徴があります。
たとえば、直接対面や電話の場合、相手が30秒も黙っていたら、「どうしたのだろう?」と感じると思います。
カウンセラーもクライエントもどちらも発話をしていなくても、時間は経過していきますので、あまり話ができないまま既定の時間になってしまうということも起こり得ます。

しかし、メールの場合は、返信までにある程度のタイムラグがあっても、それ自体は問題になりません。
わざわざ、メールの文章内に「そうですね、・・・・・。」などと書いたりする必要もないので、沈黙という概念がないわけです。

さらに、クライエントが深夜2時にメールを送ることもできますし、カウンセラーが返信を2日後の朝7時にすることもできるので、時間的な制約があまりありません。

メール・カウンセリングのデメリットとしては、いくらでも長い文章を作成することができてしまうものの、相手に分かり易く文章をまとめようとすると、それなりに時間がかかってしまうという点が挙げられます。

直接対面や電話の場合は、沈黙にも何らかの“意味”があり、カウンセラーにとってはそれも分析すべき重要な情報の1つとなります。
しかし、メールの場合、相談内容の文章が「どれくらいの時間をかけて書かれたものなのか?」ということが分かりません。

悩みがあるものの、まだ頭の中が整理整頓できていない人も多く、その場合、メールの文章自体は短くても、長時間かけて作られている可能性があります。
ですが、カウンセラーは「メールが書かれていく過程」を知ることができず、「完成された文章」だけを見て判断することになり、誤解や食い違いが生じやすくなります。

また、普段のメールでのやり取り同様、メール・カウンセリングもすぐに返信があるとは限りません。
そのため、クライエントがメールを送った時に悩んでいたことや抱いていた感情が、カウンセラーから返信が来る頃には別のものに変わってしまっている可能性もあり、即時性の低いツールであるといえます。

このように、非対面やオンラインという手法にも、様々なツールが存在しています。
実は新型コロナウィルスの影響で注目が集まっているのは、意外に思われるかもしれませんが電話カウンセリングです。
各地方自治体で特設の相談窓口を開設していますが、それらは基本的に電話となっています。若い人の「電話離れ」があるものの、やはり誰もが1度は必ず使ったことがあるという意味で、電話は「安心感の強いツール」なのです。

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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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