コラム

対面カウンセリングとオンライン・カウンセリング とは Part2

2020.12.3

新型コロナウィルスの影響もあり、現在、オンラインでのカウンセリングが急速に増えつつあります。パソコンやスマホで手軽に悩みを相談できるのは非常に便利なことであり、メンタルへルスの維持・向上にも貢献すると考えられます。
今回は、オンライン・カウンセリングそのものについての解説の2回目となります。

≪チャット・カウンセリング≫

LINEなどのチャット・ツールは、メールよりも便利であるため、広く普及しています。
中高生などに至っては、既に電話やメールを使うことがほとんどなく、LINEがコミュニケーションの主流になっているという調査結果も出ています。

従って「相談ダイヤル」を開設しても10代には「ダイヤル」という言葉の意味が分からないため、利用者が非常に少ないという問題も起きています。
使い慣れていない電話やメールで、初対面のカウンセラーに悩みを打ち明けるのは非常にハードルが高いですが、いつも使っているLINEならカウンセリングのハードルも下がり、コミュニケーションも円滑に進みます。

LINEのメリットは、その即時性の高さであり、ほぼ電話と同じレベルです。
メールの場合、文章作成・送信・受信・開封という順序を経て、内容確認と返信ができますが、LINEはこの一連の流れが瞬時に行われます。

「既読」も明示されるので、文字だけでスピーディーなやり取りができます。
また、LINEもメールと同様にクライエントが悩みや考えを文章化することによる「頭の整理整頓」の効果、それに伴うストレス軽減・メンタルケアの効果があるのも重要なメリットです。

チャット・ツールのデメリットは、メリットでもある即時性が高すぎるという部分にあります。
日常生活でも「既読」がついたのに返信がないと、相手にネガティブな感情を抱くことがあるかと思います。
カウンセリングでも同様で、せっかくLINEでカウンセリングしているにもかかわらず、コミュニケーションがスムーズに進まないとイライラがつのってしまいます。

カウンセリングを受ける側も、スピーディーな展開が予想されるにもかかわらず、文字情報しか手掛かりがないという点で、非常に高いレベルが求められるのが、チャット・カウンセリングなのです。

実際に行われた大規模なオンライン・カウンセリングに関する社会実験において、カウンセラーによるLINEカウンセリングは、1回を2時間程度に設定するのが適切であるという見解も出されています。

これは、顔を合わせず短い文章を連続して展開させていくLINNEでは、クライエントもカウンセラーもすぐに本題である「悩みの解決」に向かわずに、「探り」の段階が必要になるからです。
クライエントも、友達とLINEをしている時と同じ感覚でツールを利用すると、どうしても違和感・食い違いが生じてしまうので、オンライン・カウンセリングを利用する「心構え」というものが、ある程度は必要になってきます。

≪インターネット電話によるカウンセリング≫

いわゆる、skypeやzoomなどのテレビ電話のツールを活用したカウンセリング・サービスも展開されています。
これらは、オンラインであり、クライエントはどこかに足を運ぶ必要はありませんが、画面を通じてカウンセラーと顔を合わせることができます。

カウンセラー側からしても、鮮明な映像ではなく、多少のタイムラグがあるものの、クライエントの表情や視線の動きなどの情報が得られるのは大きなメリットです。
また、基本的には無料で利用できるのも大きなメリットであるといえるでしょう。

デメリットとしては、メールやLINEと比べると、多少、設定や利用方法が複雑なので、最初は使いづらさを感じたり、混乱してしまったりすることがあります。
また、アプリケーションやネットワークに不具合が発生するケースがあるという問題もあります。

しかも、その原因がクライエント側のPCやスマホの問題なのか、オンライン・カウンセリング・サービスのシステム上の問題なのか、はたまたツールそのものの障害なのかが、すぐには分からないということもあります。

そうなると、カウンセリングを円滑に進められずに時間だけが経過してしまうことになります。
このような問題が発生した際に“責任の所在”が曖昧になってしまうのが現状です。
skypeやzoomなどのサービスを展開している企業は「便利なコミュニケーション・ツール」としての活用を想定してはいるものの、「有料カウンセリング」のために活用することは想定の範囲外なのです。

そのため、ツールに不具合が発生し、カウンセリングがスムーズに進まなかったとしても、金銭的な補償などに関するガイドラインは、オンライン・カウンセリング・サービスを展開する企業側の裁量に依存することになります。
そのため、サービスによっては、そういったガイドラインが不明確で、不測の事態があっても対応してもらえないこともあります。

数回にわたり、オンライン・カウンセリングについて、対面・非対面との比較、相談先の違い、オンライン・ツールの種類について解説してきました。
新型コロナウィルスの影響で注目を集めているオンライン・カウンセリングですが、このような状況が打開されても、その使い勝手の良さと、良い意味での「敷居の低さ」は、オンライン・カウンセリングのメリットとして普及をしていく可能性を秘めていると考えられます。

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著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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