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天才の日と心理学の関係

2025.10.24
  • 心理学者
  • 心理学

天才の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

【目次】

10月31日は「天才の日」

精神分析の父、そして神経科学の先駆者

認識の謎に挑んだ、児童心理学の革命児

スキナー・ボックスから世界へ。行動科学の革命者

まとめ

 

10月31日は「天才の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月31日は「天才の日」に制定されています。これは株式会社天才工場が制定したものです。日付の由来は「てん(10)さ(3)い(1)」(天才)の語呂合わせからきています。この日は自分の才能に気づき、自分も天才の一人であることを再確認する日となっています。

では、天才と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

精神分析の父、そして神経科学の先駆者

心理学の分野には様々な研究において、いわゆる天才とよばれる先生方・専門家がいます。たとえば、オーストリアの心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家であるジグムント・フロイトは精神分析の創始者として有名ですが、それ以上に神経科学や脳科学の専門家としても大きな功績を残しています。フロイトはまず医学博士の学位を取得し、その後に心理学と生理学、そして医学の知識を活かし、神経科学の専門家としてのキャリアをスタートしており、神経科学の分野で多数の研究業績を残しています。

フロイトは1900年代初頭にクライエントと対峙してコミュニケーションを取るという手法を最初に使用した手法を確立しており、精神分析は精神医学における第2の革命に位置付けられています。ジグムント・フロイトは人間の心の深層に焦点を当て、心理学だけでなく文学・芸術・哲学にまで影響を与えたことから「20世紀最大の知的革命を起こした人物」ともよばれています。

認識の謎に挑んだ、児童心理学の革命児

また、ジャン・ピアジェも天才的な心理学者の1人であると考えられます。スイスで生まれたピアジェは10代のころにベルグソンの著作である『創造的進化』を読み、認識の生物学的なメカニズムの解明に一生を捧げる決心をしたとされています。あくまで哲学的であり、実験的基礎のないベルグソンの議論を超え、生物学と認識分析の間に哲学ではない何かが必要であると感じたピアジェは、その何かを心理学に見出そうとしました。ピアジェは子どものころから非常に優秀であり、何と10歳で論文を学術雑誌に投稿し、その論文が雑誌に掲載されています。そして、19歳で大学の動物学科を卒業すると、チューリッヒついでパリで心理学を学び、1921年に理学博士号を取得。同時に、ジュネーヴを本拠地として知能の構造を明らかにするための児童心理学研究を続けました。

また、観念の発達に関する研究にも従事しました。1950年には『発生的認識論序説』全3巻を執筆し、科学としての認識論を構築しました。さらに、この分野には学際的研究が必要であると感じたピアジェは、1955年には発生的認識論国際センターをジュネーヴ大学に創設し、物理理学者や論理学者など諸科学の専門家と心理学者の共同研究による理論的検討と実験的分析を同時に進めました。これらの認識論に関する研究と児童心理に関する研究の結果、ピアジェは4段階の認知発達に関する理論を提唱しています。わずか10歳で学術論文を執筆し、19歳でいわゆる飛び級で大学を卒業するなど、ピアジェの人生の随所にその天才性があらわれているといえます。

 

スキナー・ボックスから世界へ。行動科学の革命者

バラス・スキナーも天才的な心理学者の1人といえるでしょう。スキナーはアメリカの心理学者であり、学習心理学の専門家として、行動分析学の創始者をしたことで有名であり、20世紀において非常に影響力の大きかった心理学者の1人に数えられています。スキナーは父は弁護士、母は専業主婦、2歳下の弟の4人家族であり、幼少期から工作に熱中し、浮力を用いた熟した実と未熟な実を選別する装置や逆方向にステアリングするカート、永久機関装置などを試作したといわれています。ハミルトン・カレッジで英文学を専攻し、1926年に卒業後、行動主義における心理学的な研究に興味・関心を持ちます。

そして、24歳でハーバード大学の心理学科に入学し、いわゆる「スキナー・ボックス」を開発・使用して、動物の行動を通して強化の随伴性を実験的に明らかにしました。その後、ミネソタ大学、インディアナ大学で教授を務め、1958年からは母校のハーバード大学の心理学科でも教授を務めています。また、1968年には当時のジョンソン大統領よりアメリカ国家科学賞(生物科学部門)を授与されています。現在、スキナーの業績に基づいた実践理論は応用行動分析(ABA)として発展し、組織での人材育成や学校での学習教育、発達障害の支援、心理カウンセリング、イルカ・猛禽・犬などのペット動物の訓練技術として幅広く応用されています。

 

まとめ

このように、心理学の分野にも様々な天才がおり、その天才たちの業績が現在の私たちのメンタルヘルスを支えているのです。


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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。