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いいチームの日と心理学の関係

2024.12.2
  • 産業・組織心理学
  • 心理学者
  • 心理学

いいチームの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

【目次】

11月26日は「いいチームの日」

産業・組織心理学における組織開発とは

産業・組織心理学における組織風土とは

まとめ

 

1月26日は「いいチームの日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。11月26日は「いいチームの日」に制定されています。これは、グループウェアを開発しているソフトウェア会社のサイボウズ株式会社が制定したものです。11月26日が「いい(11)チーム(26)」と読む語呂合わせから、この日が選ばれたという経緯があります。この日は、組織の発展に不可欠なチームワークについて考える日とされており、優秀なチームリーダーを招くイベントなどが実施されています。一般的にチームとは、何らかの目標に向かってメンバーそれぞれの役割分担が明確にある集団と定義されています。

では、チームと心理学にはどのような関係があるのでしょうか。

 

産業・組織心理学における組織開発とは

心理学の応用分野に産業・組織心理学というものがあります。この産業・組織心理学ですが、この名称でよばれるようになったのはここ20年くらいのことであり、それまでは産業心理学と組織心理学の2つに分かれていました。今では、1つの分野として認識されていますが、特に組織心理学については、組織における人間行動を個人とそれを取り巻く組織環境との相互依存的関係の中で理解することを目的として研究を実施する分野と定義されています。組織心理学において、仕事の動機づけ、組織構造、リーダーシップの影響過程、組織コミュニケーション、集団意思決定、組織活性化、組織開発などの組織における人間行動の広範な領域に関する研究が進められています。従って、チームについての心理学的な研究はこの組織心理学において実施されているということになります。

たとえば、組織心理学において、組織開発という概念があります。これは、組織が本来備えている有効性や機能性を十全に発揮することができるように、組織文化・風土を計画的に変革改善していくための継続的努力過程のことを指します。組織開発の特色として、変革の対象は組織の文化・風土であり、組織の機構や制度の変更に留まるものではなく、長期に渡って計画性を持って継続される努力過程であると定義されています。また、トップの管理の下で行われるものの、変革推進者として組織内部だけでなく外部の力も利用しつつ、組織の中の集団を単位として、その活性化に向けて変革が推進されること、集団と個人の関わりに着目する行動科学の知識と技術を活用することなどが挙げられます。このように、組織(チーム)とは、自然に誕生し、自然に発達していくものではなく、変革・改善を目的として、継続的な努力によって開発されているものなのです。

 

産業・組織心理学における組織風土とは

組織開発の中でも言及されていますが、組織には組織風土というものがあります。組織風土とは、一般的には社風や職場雰囲気などに代表される、成文化されているわけではないものの、多くの成員(メンバー)によって実感されるような、その組織(チーム)に特徴的と考えられる思考様式や行動規範のことを指します。

組織心理学者のフレデリクセン・リトヴィン・ストリンガー・タジュウリらが1960年代後半から、この組織風土の心理学的な研究を実施するようになりました。ただし、現在も組織風土の概念は不明瞭な部分も多く、理論的定義も研究者間で様々です。組織風土を組織サイズや仕事環境など組織を構成する要素との関連において捉えようとする立場、価値や欲求など成員個人の認知特性との関連において捉えようとする立場といように、大きく2つに分類することができるとされています。また、組織風土の次元として、個人の自律性、地位に課せられる構造度、報酬志向性、配慮・暖かさ・支持などが挙げられます。このように、組織(チーム)の中の「暗黙の了解事項」としての風土というものについても、心理学的な研究が進められているのです。

 

まとめ

「チーム」という概念においても、主に産業場面を想定した形式で、心理学的な研究が盛んに行われているのです。


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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。