日本最高気温の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。7月23日は「日本最高気温の日」に制定されています。これは1933年7月25日にフェーン現象によって山形県・山形市で日本の当時の最高気温となる40.8℃を記録したことが由来となっています。ただし、その後、2007年8月16日に埼玉県・熊谷市と岐阜県・多治見市で40.9℃を観測し、74年ぶりに0.1℃ではあるものの、記録が更新されています。さらに、2013年の8月12日に高知県・四万十市・江川崎で41.0℃を観測しており、また0.1℃、記録が更新されています。この5年後、2018年7月23日にまた埼玉県・熊谷市で41.1℃を観測、2020年8月17日に静岡県・浜松市でも同じく41.1℃を観測しています。2025年時点では、これらが最高気温となっており、奇しくも、1933年と2018年の同じ7月23日に最高気温を記録していることから、7月23日が日本最高気温の日となっています。
日本での最高気温は前述のようになっていますが、世界に目を向けると、どうでしょうか。世界の最高気温としては、1913年7月10日にアメリカのカリフォルニア州デスバレー国立公園のグリーンランドランチで観測された56.7℃が世界記録となっています。
では、気温や温度と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
私たちは生理的な感覚として暑さまたは冷たさを感じています。より専門的には、温覚と冷覚を合わせて温度感覚とよばれる感覚があります。温度感覚は皮膚による知覚です。皮膚には温覚または冷覚のみを引き起こす温点と冷点が存在しており、熱さと冷たさを感じる部分が独立しています。また、私たちは熱さと冷たさに対する反応が多少異なっており、冷覚の方が温覚より速いということが判明しています。さらに、温度感覚に関する神経を上手く利用して、温覚または冷覚のみを感じなくするということもできることが分かっています。私たちの体温や体表温は基本的に一定に保たれていますが、外部から熱いモノや冷たいモノが触れることで、“熱さ”や“冷たさ”を感じます。しかし、皮膚の温度と同じ温度の対象が皮膚に接した時には温覚も冷覚も生じないのです。このように、熱さ冷たさも感じない温度のことを生理学的零点とよびます。
私たちの皮膚の表面温度は皮膚温ともよばれ、様々な要因によって影響を受けます。外部環境要因として、湿度、気流、外部環境温などの影響を受けます。そのため、「ジメジメしている」という状態でも暑さや寒さを感じ、温度自体には変化がなくても、扇風機による「風」が気流となることで、涼しさを感じることができます。また、内部環境要因として、血液の温度、皮下脂肪層の厚さなどの皮膚構造、発汗なども影響を及ぼします。従って、太っている人は暑がりですし、汗をかいた後に汗が蒸発する際に熱が奪われることで、暑さが和らぐのです。
日本には明確な四季があり、当たり前の話ではありますが、毎年、夏は暑く、冬は寒いということになります。そして、私たちは外部の気温による影響を受けながらも、体内の生理的状態を一定に保とうとしています。そのため、暑さや寒さはストレスの原因となることが多く、身体的な疾患だけではなく、精神的な疾患の引き金になることもあります。身体的疾患の場合、特に高血圧性疾患、心疾患、脳血管性疾患および老衰は気温と密接に関係しているとされています。そのため、症状の悪化や、これらの疾患による死亡が増えることと、気温の状態が関係しているとされています。また、熱中症や低体温症などの疾患も外部の気温の影響を強く受ける疾患です。高齢者は熱波や寒波の影響を受けやすく、熱中症や低体温症による死亡が多い傾向にあります。そのため、特に老人性低体温症という独立したカテゴリーも存在します。熱中症については、冷房・エアコンなどの空調機器が発達したことで、昔に比べれば予防・防止が可能になってきています。しかし、高齢者、特に認知症を発症している高齢者は、気温に対する感度が鈍く、暑さに気が付かないという傾向があります。そのため、実際には暑く、汗をかいているにもかかわらず、その暑さを感じることができないため、冷房・エアコン・扇風機などを使おうとしないことがあります。その結果、本人が気づかないうちに脱水症状や熱中症になってしまうことがあります。
このように心理学では気温や温度に関しても、様々角度から研究が進められているのです。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。