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メンタルヘルスと法律(2) 

2024.5.1
  • メンタル

<2023年8月3日 こころ検定-心理学で役立ちコラム-の再掲>

日本において、メンタルヘルスと関連する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。 

心理カウンセリングやメンタルヘルスに関する法律には様々なものがあります。
そこで、本コラムでは法律の観点から、心理カウンセリングやメンタルヘルスについて考えていきたいと思います。

【目次】

発達障害者支援法とは

発達障害者支援センターについて(1)

発達障害者支援センターについて(2)

まとめ  

発達障害者支援法とは

発達障害者支援法は2005年4月に施行された、比較的新しいメンタルヘルス関連の法律です。 この法律は神経発達症(発達障害)である自閉スペクトラム症・注意欠如・多動症(AD/HD)・限局性学習症などを持つ者に対する援助等について定めた法律です。 本法律では、児童の発達障害の早期発見及び発達障害者の支援のための施策や、児童の発達障害の早期発見・早期支援、保育・教育・放課後児童健全育成事業の利用・就労・地域生活といった、あらゆる場面での支援や権利擁護・家族への支援を、地方公共団体や社会全体に要請することを大きな1つの目的としています。

 

発達障害者支援センターについて(1)

また、発達障害者支援センターに関しても定められており、責務・運営上の留意事項・都道府県の監督事項を定めるほか、専門的な医療機関の確保等を都道府県に要請することなどが定められています。 そして、発達障害者を支援する民間団体への支援や国民に対する普及・啓発、医療・保健業務に従事する者に対する知識の普及・啓発、専門的知識を有する人材の確保・調査研究などを行政や社会全体に要請することも定められています。 発達障害者支援法は長年にわたって、日本の福祉制度の中で、ある種「取り残される」という立場にあった発達障害者の定義と社会福祉法制における位置づけを確立し、発達障害者の福祉的援助に道を開くものとなっています。 そのため、発達障害者の支援は「社会的障壁(発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で壁となるような社会における事物、制度、ならわし、考え方その他一切のもの)」を除去することを目的とすると明言されています。

 

発達障害者支援センターについて(2)

また、乳幼児期から高齢期まで切れ目のない支援や教育・福祉・医療・労働などが緊密に連携、司法手続きで意思疎通の手段を確保、国及び都道府県は就労の定着を支援についても定めています。 さらに、就労・雇用についても、雇用主に対して発達障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の発達障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう要請しています。 より重要な範囲として、発達障害児と学校との関係についても注目しており、教育現場において個別支援計画・指導計画の作成やいじめ防止対策、福祉機関との連携その他の支援体制の整備を推進についても明確に定めています。 発達障害者支援法の中で明記されているものとして、発達障害者支援センターがあります。 発達障害者支援センターは発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。 都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。 発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるよう、医療・保健・福祉・教育・労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からの様々な相談に応じ、アドバイスとサポートを行うことを目的としています。 発達障害者支援センターは日本全国の各都道府県・指定都市において設置が進められていますが、人口規模・面積・交通アクセス・地域資源・各地域の発達障害者支援体制整備状況などによって、各センターの事業内容には多少の違いがあります。

 

まとめ

神経発達症(発達障害)の問題は以前から存在するものであるものの、現在は、昔に比べると一般の方々の理解も深まっています。 その上で、国・地域・社会として神経発達症(発達障害)を抱える人々のサポートを充実させていくことが進められているのです。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。