禁煙の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。1月22日を含む、毎月22日は「禁煙の日」に制定されています。これは禁煙推進学術ネットワークが制定した物であり、日付は数字の「2」を白鳥(スワン=吸わん)に見立てて、毎月22日を「スワンスワン=吸わん吸わん」の語呂合わせからきています。この日はタバコの害や禁煙の重要性に関する知識の普及を促進し、禁煙を促して受動喫煙の防止を含む社会的な禁煙の推進を図ることが目的となっています。禁煙推進学術ネットワークには禁煙を推進する19の学術団体が参加しています。
喫煙による煙には4000種類以上の化学物質が含まれ、有害物質が約250種類、さらにその中には少なくとも約70種類の発がん性物質が含まれています。これらの物質の影響により、がん・循環器疾患・呼吸器疾患・消化器疾患・その他の様々な健康障害の原因になることが様々な科学的研究の結果として判明しています。逆に禁煙をすることで、肺がんや心臓疾患などの発症や死亡リスクを大きく下げることができることが判明しており、喫煙者本人だけでなく、周囲の人の受動喫煙による健康被害も減少させることができます。これらは禁煙・喫煙が身体に及ぼす影響です。
では、喫煙・禁煙が人間の心理にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
タバコに含まれるニコチンによる影響があります。ニコチンはドーパミンに影響を及ぼすことが判明しています。ドーパミンは通常、快感や集中力に影響を与えます。しかし、頻繁な喫煙はドーパミンが分泌されにくい状態を作り出してしまい、喫煙をしてはじめて快感・集中力が中程度の状態になり、喫煙をしないと快感や集中力が低下してしまうという状態になってしまいます。
また、同じくニコチンはアセチルコリン受容体を直接的に活性化させる効果があります。そのため、注意力・反応速度・覚醒感などが一時的に向上します。ただし、頻繁な喫煙はアセチルコリン受容体を減少させ、非喫煙者よりも注意力が低下する傾向が認められます。
さらに、ニコチンはノルアドレナリンにも影響を及ぼします。喫煙の頻度が少なければ、覚醒度は上がるものの、頻度が増えるとストレス反応が増加してしまいます。よく、喫煙者の方はタバコを吸うと落ち着くと感じると述べますが、生理心理学的には、むしろ交感神経が活性化してしまいます。そして、ニコチンはセロトニンにも影響を及ぼすことが分かっています。喫煙の頻度が少なく、まだ喫煙習慣がはじまったばかりであれば、軽い安心感を得ることもあります。ただし、喫煙習慣が長期になるとセロトニンの分泌調整に乱れが生じ、抑うつ傾向が高まることが判明しています。
さて、タバコにはニコチンだけでなく、タールも含まれています。タール自体には神経伝達物質への直接的な影響はないものの、一酸化炭素の発生による影響があります。一酸化炭素は脳への酸素供給が低下させ、疲労感・集中力低下・抑うつなどの問題が発生しやすくなります。
では、逆に禁煙は心理的にどのような影響を及ぼすのでしょうか。これについては禁煙をスタートしてからの期間によって異なります。禁煙をはじめた初期段階の数日から数週間はいわゆる離脱症状が発生します。これはニコチン依存からの離脱であり、イライラ・不安感・焦燥感・集中力低下・不眠・抑うつなどが発生します。これらはドーパミン・アセチルコリン受容体が禁煙によって平常状態に戻る過程で起きるものであり、多くは 1〜3週間程度で改善し、離脱症状はなくなっていきます。
続いて、禁煙をスタートして1~3ヵ月が経過した段階では、前述のように離脱症状が減少し、ポジティブな状態が増えていきます。具体的には、 気分の安定・集中力維持・睡眠の質の改善などが認められます。
そして、禁煙をスタートして3ヵ月から1年が経過した段階では、喫煙者と比較して優位に抑うつや不安が低下し、ストレスにも強くなり、自尊感情の増加、QOLの向上などが起きるとされています。
このように、喫煙と禁煙についても、様々な角度から心理学的な研究が実施されているのです。

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。