オンラインゲームと心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月17日は「オンラインゲームの日」に制定されています。これは、アメリカ・カリフォルニア州に本社を置くコンピュータゲームの販売企業エレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)が制定したものです。1997年10月17日に日本初の月額課金制・多人数同時参加型のオンラインRPG『ウルティマ オンライン』(Ultima Online:UO、英語版)が発売されたことがきっかけとなっています。このウルティマ・オンラインはMMORPGとよばれるゲームであり、その最初の成功例かつ完成度の高いものとして有名です。
では、オンラインゲームやインターネットと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
ゲームは楽しい娯楽であり、ゲームが趣味の方も非常に多くいると思われます。ゲームはエンターテイメントの1分野として確立されており、私たちの生活にとって身近なものであり、多くの人にとってなくてはならない存在でもあると考えられます。しかし、ゲーム、特にオンラインゲームへの依存が問題となっており、心理学や精神医学においても研究が進められています。
WHO(世界保健機関)が発行している疾患の診断マニュアルであるICDとAPA(アメリカ精神医学会)が発行している精神疾患の診断・統計マニュアルであるDSMにおいて、インターネット・ゲーム障害というものが精神疾患として掲載されています。インターネット・ゲ一ム障害(Internet Gaming Disorder, IGD)とは、以下のような症状・問題行動を示すものであると定義されています。 ・オンライン上でのゲームに関する行動(頻度、開始・終了時間、内容など)がコントロ ールできない。 ・オンライン上でのゲーム優先の生活となり、それ以外の楽しみや日常行う責任のあるこ とに使う時間が減ってしまう。 ・オンライン上でのゲームにより個人、家族、社会、教育、職業やそのほかの重要な機能 分野において著しい問題を引き起こしているにもかかわらず、ゲームがやめられな。 このような状態が12ヶ月以上続いている状態であることで、インターネット・ゲーム障害と診断される可能性があります。まず、2013年に出版されたDSM-5において事実上、国際的な診断マニュアルとして使われている米国精神医学会が2013年にインターネット・ゲ一ム障害の概念が提言され、その後、2019年にWHO(世界保健機関)が、ゲーム障害を新たな依存症として認定しています。
現在は、さらにインターネット・ゲーム障害に関する診断基準が明確化されており日常生活に様々な影響・問題が生じる中で、生活の乱れ、朝起きられない、昼夜逆転の生活になる、十分な食事を摂らない、使用を制限され暴力的になる、ゲームに高額な課金をしてしまうなどの問題行動も追加されています。
また、インターネット・ゲーム障害については、新型コロナウィルスの感染拡大の問題とも関連があるとされています。外出制限などが実施されている中で、家の中でのライフスタイルが重視されました。どうように、仕事や学校がある場合も、出勤・登校をせずに、オンライン上で業務や勉強ができる環境が整いました。その結果として、オンラインゲームというものが非常に身近かつ、やりやすい環境が整ってしまったわけです。また、コロナ禍が続く中で、ゲーム等のコンテンツを無料公開するなどの対応が実施されたことも、オンラインゲームの拡大を進めた要因であるとされています。たとえば、まだ、子どもや未成年などの若い人の場合、課金制のゲームや購入費用が必要となるゲームは、クレジットカードや電子マネーが使えないため、自由に購入・実施ができないわけです。しかし、無料公開や無料体験があまりにも簡単にできてしまうと、それを入り口として、ゲームに依存してしまう状況が作られやすくなってしまうということです。
インターネット・ゲーム障害は現在も拡大していると考えられており、コロナ禍が落ち着ても、その勢いは変わらないとも言われています。楽しいゲームではありますが、依存状態となってしまえば、それは精神疾患となってしまうので、注意が必要なのです。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。