世界的に新型コロナウィルスによる感染症対策のため、緊急事態宣言と外出を含む様々な活動の自粛要請が発令されていましたが、日本では、ようやくそれらが解除となりました。緊急事態宣言の解除に伴い、私たちの生活は大きく変化すると考えられます。
そこで、このような大きな変化において重要となる心理学・メンタルへルスについて解説していきたいと思います。
本コラムを執筆している5月27日時点では、全国的には緊急事態宣言が解除されています。このような大きな変化において役立つ心理学・メンタルへルスに関する知見があります。
前回のコラムでは、心理学者のホームズとレイによる出来事とストレスレベルの関係性のランキングを1位から20位までお伝えし、新型コロナウィルスの影響と緊急事態宣言解除後の影響について解説しました。今回は残りのランキングについて解説していきたいと思います。
21位(ストレスレベル:30) 借金・ローンの抵当流れ
22位(ストレスレベル:29) 職業上の責任の大きな変化(昇進・転属等)
22位(ストレスレベル:29) 子どもの独立
22位(ストレスレベル:29) 義理の親族のトラブル
25位(ストレスレベル:28) 個人的に大きなトラブル
26位(ストレスレベル:26) 配偶者の就職・退職
27位(ストレスレベル:25) 自分自身の学校への入学や卒業
28位(ストレスレベル:24) 住環境の大きな変化(新改築)
28位(ストレスレベル:24) 習慣の変化
30位(ストレスレベル:23) 上司とのトラブル
31位(ストレスレベル:20) 勤務時間・労働条件の大きな変化
31位(ストレスレベル:20) 転居
31位(ストレスレベル:20) 転校
34位(ストレスレベル:19) 余暇活動の大きな変化
34位(ストレスレベル:19) 宗教上の大きな変化
36位(ストレスレベル:18) 社交的活動の大きな変化
37位(ストレスレベル:17) 100万円以下の借金・ローン
38位(ストレスレベル:16) 睡眠習慣の大きな変化
39位(ストレスレベル:15) 同居家族人数の大きな変化
39位(ストレスレベル:15) 食習慣の大きな変化
41位(ストレスレベル:13) 長期休暇
42位(ストレスレベル:12) クリスマス(年中行事など)
43位(ストレスレベル:11) 軽度の法律違反
(※残りの順位の部分については、前回のコラムで紹介しています。)
新型コロナウィルスの影響による自粛生活と関連するものとしては、習慣の変化、勤務時間・労働条件の大きな変化、余暇活動の大きな変化、社交的活動の大きな変化、食習慣の大きな変化などが該当するかと思います。
特にアウトドア派だったり、日頃から社交的な方にとっては、外出自粛の生活はストレスだったのではないかと考えられます。また、リモートワークによる勤務時間・労働条件の変化も、オンライン・ツールに不慣れな方には、やはりストレスだったのではないかと思われます。
一方で、緊急事態宣言解除に伴う変化も、ほぼ同じことが言えるのではないかと考えられます。自粛期間が明け、元の生活に戻る際に、やはりライフスタイルには大きな変化が起こります。これは、新型コロナウィルス対策の流れからすると「良い変化」なのですが、変化への適応ということを考えると、どうしてもストレス要因になってしまうのです。
前回のコラムでお伝えした内容も含め、これらのライフイベントが持つストレスの程度が“自分の感覚”と異なると感じる人もいらっしゃるかもしれません。また、死別や結婚・離婚などの人生における大きな出来事よりも、日々の瑣末なトラブルやイライラするような事柄(デイリーハッスルズ)の方がストレス値が高い傾向にあるという研究報告もあります。
これは、出来事をどのように認知するかによって、ストレス発生の有無やストレスの程度が異なるからです。従って、新型コロナウィルスの影響をどのように認知していたのか、また、緊急事態宣言解除後の元に戻った生活をどのように認知するのかによって、ストレスの程度には個人差があると考えられます。
出来事の認知の重要性とストレスの関係性については、既に連載初期のコラムでも書かせていただいています。物事を正しく認知するには、科学的・論理的な思考に基づいて、数値データなどを重視した判断・評価をすることが大切です。
新型コロナウィルスの影響が大きかった自粛期間においても、常に科学的・論理的な思考で、感情に振り回されないでいることが重要でした。同様に、自粛期間が明けた後も、論理性や客観性に基づく思考を保つことが、健康で幸福なライフスタイルを維持するキーワードであるといえるでしょう。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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