精神疾患における心身症とは、どのようなものなのでしょうか。
精神疾患の一種として、心身症というものがあります。
これは、精神的な問題と同時に身体症状を伴うものです。
では、より具体的に心身症とは、どのような精神疾患なのでしょうか。
心身症とは、日本心身医学会の定義によると「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態のこと。
ただし、うつ病などの精神障害に伴う身体症状は除外する」となっています。
もう少し具体的に解説すると、心身症とは、身体疾患のうちで、発症や経過にストレスや心理社会的要因が密接に関与しており、器質的・機能的な障害が認められるものと定義されています。
ただし、うつ病などの精神疾患に伴う身体症状は除外されます。
つまり、対人関係上のストレスで胃潰瘍を発症したという場合は心身症である可能性が高いですが、うつ病による食欲不振は心身症とはみなされないということになります。
心身症の代表的なものとして、胃潰瘍や片頭痛、過敏性腸症候群などがあります。
また、精神科医のシフネオスらは、心身症では心理的因子は身体的諸因子とともに病状形成の一要因に過ぎないとしており、身体症状の比重が大きく、失感情症(アレキシサイミア)という概念を提唱し、自分の内的な感情への気づきとその言語的表現が制約されている状態であるとしました。
現在では、失感情症(アレキシサイミア)も代表的な心身症の1つとして知られています。
その他、臨床心理学者の池見酉次郎は失体感症という概念を提唱しています。
これは、心身症のクライエントは失感情症だけでなく、自分のホメオスタシスの維持に必要な身体感覚への気づきが鈍いという状態であるとしています。
代表的な心身症には胃潰瘍や片頭痛、過敏性腸症候群、アレキシサイミアなどがありますが、他にも様々な身体各部位に症状を示す心身症があります。
これらの心身症の中でも特に、最近、子どもを中心に問題として取り上げられることが増えているものが2つあります。
1つは起立性失調症候群です。
主に子どもに多く認められる起立性調節障害とよばれ、原因は自律神経機能の異常であるとされており、起床の困難さや、午前中の心身の調子の悪さなどが発生してしまいます。
これらの症状を発症する割合は、小学生で5~10%、中学生で10~20%であるとされています。そのため、不登校や引きこもり、学業不振(遅刻・成績不良)などの原因の1つとして、起立性調節障害が注目されています。
もう1つは、慢性疲労症候群です。
慢性疲労症候群は比較的新しい病態概念なのですが、明確な原因は現時点では不明であるとされています。
主に男性よりも女性に多いとされており、年齢層は子どもから50歳台まで幅広いことが判明しています。特に子どもの場合は、慢性疲労症候群が不登校や引きこもり、学業不振(遅刻・成績不良)などの原因の1ではないかと考えられています。
このように、心身症には実に様々な症状があります。
また、大人だけでなく、子どもも発症する可能性があり、不登校などの問題との関連も認めらえるケースがあります。
心身症については、こころ検定2級(メンタルケア心理士)のテキストである精神解剖生理学基礎と精神医科学基礎の中で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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