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絵本の日と心理学の関係

2024.11.21
  • 心理学

絵本の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

【目次】

11月30日は「絵本の日」

芸術療法とは

絵画療法、コラージュ療法とは

まとめ

 

11月30日は「絵本の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。11月30日は絵本の日に制定されています。これは、福岡県・福岡市などで、こどもの歯科医院を運営する「医療法人 元気が湧く」が開設した民間図書館「絵本と図鑑の親子ライブラリー」(ビブリオ)が制定したものです。制定のきっかけは、近代絵本のさきがけとなる考え方を示した児童文学作家・瀬田貞二の『絵本論』(福音館)の初版発行が11月30日であったことにあります。瀬田貞二は、映画にもなり大ヒットした『ナルニア国物語』や『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』の翻訳者としても有名です。また、『かさじぞう』などの民話を分かりやすく絵本にしていることでも知られています。

この日は、絵本の研究者・作家・出版社・書店・読者とともに絵本の魅力を伝え、絵本を通して子どもたちの感性を育て、個人と社会を結び、その教育的・文化的・社会的な活動を広めていくことを目的とした様々な活動・催事が実施されています。

では、絵本や絵と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

芸術療法とは

心理療法の一種に芸術療法というものがあります。これは様々な芸術作品を創造する活動に従事することを通じて、心身の健康を回復することを目的とするカウンセリング手法です。芸術療法のほとんどは、心理臨床の実践の中で、その治療・支援の効果を専門家が経験的に評価し、テクニックを発展させてきたものとなっています。芸術療法の代表的なものに、絵画療法・音楽療法・詩歌療法(俳句・短歌・詩などの文学創造)・箱庭療法・陶芸療法(焼き物などの作成)・コラージュ療法(貼り絵)・舞踏療法(音楽にあわせて身体を動かす)など、実に様々なものがあります。

 

絵画療法、コラージュ療法とは

絵画療法はクライエントが描いた絵を解釈する点では共通していますが、描き方の指定や自由度、解釈の背景となる理論の違いにより様々な技法があります。精神医学的診断のための技法として解釈の手続の標準化が進んでいるものも多くあります。また、診断だけでなく、治療的介入へのきっかけとしての利用を考慮した系統的な手続による客観的な評価に頼らない解釈的な傾向の強いものもあります。個人に対して行うのが一般的であるが、集団で施行する場合もあります。日本で開発された絵画療法もあり、これは風景構成法が有名である。風景構成法はクライエントに真っ白な画用紙に枠を描かせ、川・山・家・木・動物などを自由に描かせ、彩色もさせるというものです。

コラージュ療法は、フロイトの創始した精神分析・精神分析療法の対象者への無意識にアプローチするという部分が、その源流があるとされています。コラージュが心理療法の手法として確立された時期については、あまりはっきりとは分かっていません。むしろ、療法として確立される以前から、精神疾患のクライエントは自主的にコラージュ作品を作っていたことが判明しています。ですが、その段階では、クライエントの作る作品の心理学的な重要性は見逃されていました。確認できる範囲では、1970年代初期にアメリカで作業療法の1つとして、コラージュが取り入れられたとされており、その後に芸術療法としても取り入れられるようになったとされています。

 

まとめ

欧米では元々、様々な芸術的技法が心理カウンセリングの現場で使われていた関係もあり、コラージュの心理療法への応用が早い段階で見受けられます。日本において、コラージュ療法は欧米からの「輸入」ではなく、独自の起源によって今日まで発展してきたとされています。日本の場合、コラージュ療法の直接のモデルは箱庭療法であり、箱庭という道具・設備のない環境においても効果的かつ簡便な方法として誕生しました。その中で、箱庭療法とコラージュには本質的な部分で類似点が多いことに専門家が気づき、コラージュの重要性がクローズアップされました。この段階で、コラージュは箱庭療法の「手軽な代用品」ではないという位置づけを得ることになりました。このように、絵を描くということが、心理学の分野でも応用されているのです。


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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。