国際識字デーと心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
・まとめ
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。9月の第3月曜日は毎年「敬老の日」に制定されています(2024年は9月16日が敬老の日)。敬老の日は国民の祝日の1つであり「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としています。敬老の日は兵庫県多可郡野間谷村(現:多可町八千代区)の門脇政夫村長が提唱した「としよりの日」が始まりであるとされています。これは「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」という考えに基づいて、農閑期に当たり気候も良い9月中旬の15日を「としよりの日」と定め、「敬老会」を開いたことが由来となっています。そして、1950年からは兵庫県全体で行われるようになり、それが全国に広がっていきました。
その後、1966年に国民の祝日として9月15日が「敬老の日」に制定されました。これは、2002年まで9月15日を「敬老の日」としていましたが祝日法の改正でハッピーマンデー制度が実施され、2003年からは9月の第3月曜日が敬老の日となりました。この日には、自治会や町内会、老人福祉施設などで高齢者の長寿を祝う行事として、高齢者による踊りや演奏の披露、子ども達との交流会などが開催されています。また、家族や親族が集まって食事会をしたり、日頃の感謝の気持ちを込めて祖父・祖母にプレゼントを贈ったりする日にもなっています。
また、敬老の日と同様の趣旨の記念日として老人福祉法によって定められた、9月15日の老人の日、9月15日~21日の老人週間、敬老の日にちなんだ心・血管病予防デー、グランド・ジェネレーションズ デー、海老の日、孫の日、ひじきの日、シルバーシート記念日、レクリエーション介護士の日があります。
では、敬老の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
心理学には発達心理学という分野があり、その中で老年心理学があります。老年心理学とは発達過程における区分で特に老年期について研究する分野です。主に65 歳以上の年齢層における加齢に伴う精神的変化やその変化への心理的適応を研究対象としています。日本だけでなく、世界中で高齢者の人口は増えており(少子高齢化)、身体的な健康問とともに精神面の問題も高齢者には多く存在しています。従って、現在、盛んに研究が進められている分野の1つが老年心理学なのです。
老年心理学では、当初、発達段階としての老年期を老年前期と老年後期に分けていましたが、近年、比較的健康な高齢者も多いことから、さらに超高齢期を加えた3つの区分が設定されています。老年期はあらゆる能力の低下が発生します。特に身体能力の低下が顕著であり、老年期の身体能力の低下は主に予備力・防衛力・回復力・適応力の4つで発生します。予備力とは個人の最大能力と日常生活において最低限必要な能力の差のことであり、予備力の低下は余力の無さであり、変化や新規事態への反応が困難になります。防衛力は危険回避のための動作に関する能力や免疫力・抵抗力を指します。防衛力の低下により、怪我や病気のリスクが増加することになります。回復力は内臓などの障害や運動後の疲労からの改善のことを指します。回復力の低下により、各種疾患の治癒や退院までにかかる時間が長期化してしまいます。
適応力とは、環境の変化に対する適応の程度のことを指します。 適応力の低下により、気温・湿度・気圧などの変化への適応が困難になります。これらの身体面の能力低下への不適応は、ストレッサーとなることも多く、精神的健康へも悪影響を与えるものであります。加齢に伴う能力低下は誰の身にも起こることであるものの、個人差や生活習慣の改善などを通じて能力低下の進行を遅くすることはできても、完全にストップさせるということは不可能です。従って、「年老いた自分」や「能力の低下した自分」という現実を受け入れなければなりません。
このように、心理学では特に老年心理学という分野で高齢者の心理について、研究が進められているのです。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。