<2023年12月21日 こころ検定-心理学で役立ちコラム-の再掲>
気象予報と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。 日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。 8月28日は「気象予報士の日」となっています。 これは、1994年8月28日に第1回の気象予報士国家試験が実施されたことに由来しています。 では、気象予報と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
【目次】
・まとめ
気象予報といえば、まず最初に思い浮かぶのが、今日の天気が晴れるのか雨になるのかということではないでしょうか。 実は太陽の光、つまり、晴れているということはメンタルヘルス的に非常に重要であることが判明しています。
うつ病の中には、季節の影響が非常に強く認められるものがあります。 特に冬季に日照時間が減少することと、抑うつ状態との間に強い関連が認められることが判明しています。
研究によると、全世界の人口の約20%が季節の変化によってメンタルヘルスに変調をきたすことがあるとされています。 さらには、重度の季節性うつ病のクライエントの場合、夏至の日を境に日照時間が減少するにつれて、全く同じペースで抑うつ状態が悪化するケースもあるということが報告されています。
そして、この研究成果を応用して、強い光を人工的に作り出し、それを浴びることで抑うつ状態を改善するという高照度光療法という心理療法も存在します。
日光は季節の移り変わりを示すものであると同時に、気象予報とも関連が深い者ですが、これを応用することで精神疾患・メンタルヘルスの治療・支援にも活用することができるのです。
私たちの皮膚の表面温度は皮膚温ともよばれ、様々な要因によって影響を受けます。 外部環境要因として、湿度、気流、外部環境温などの影響を受けます。 そのため、「ジメジメしている」という状態でも暑さや寒さを感じ、温度自体には変化がなくても、扇風機による「風」が気流となることで、涼しさを感じることができます。
また、内部環境要因として、血液の温度、皮下脂肪層の厚さなどの皮膚構造、発汗なども影響を及ぼします。 従って、太っている人は暑がりですし、汗をかいた後に汗が蒸発する際に熱が奪われることで、暑さが和らぐのです。
日本には明確な四季があり、当たり前の話ではありますが、毎年、夏は暑く、冬は寒いということになります。 そして、私たちは外部の気温による影響を受けながらも、体内の生理的状態を一定に保とうとしています。
そのため、暑さや寒さはストレスの原因となることが多く、身体的な疾患だけではなく、精神的な疾患の引き金になることもあります。 身体的疾患の場合、特に高血圧性疾患、心疾患、脳血管性疾患および老衰は気温と密接に関係しているとされています。 そのため、症状の悪化や、これらの疾患による死亡が増えることと、気温の状態が関係しているとされています。
また、熱中症や低体温症などの疾患も外部の気温の影響を強く受ける疾患です。 高齢者は熱波や寒波の影響を受けやすく、熱中症や低体温症による死亡が多い傾向にあります。 そのため、特に老人性低体温症という独立したカテゴリーも存在します。 熱中症については、冷房・エアコンなどの空調機器が発達したことで、昔に比べれば予防・防止が可能になってきています。
しかし、高齢者、特に認知症を発症している高齢者は、気温に対する感度が鈍く、暑さに気が付かないという傾向があります。 そのため、実際には暑く、汗をかいているにもかかわらず、その暑さを感じることができないため、冷房・エアコン・扇風機などを使おうとしないことがあります。 その結果、本人が気づかないうちに脱水症状や熱中症になってしまうことがあります。
比較的最近の研究では、遺伝子情報によって、暑さや寒さに対する影響が異なることも判明しています。 研究の結果、寒さに対する耐性である耐寒性が遺伝要因として存在していることが判明しています。
このように、気象の変化や、それに伴うストレス、発症する疾患などについて、心理学的な観点から様々な研究が実施されています。 研究の結果は、熱中症の予防などの気象用法を健康対策に活用するという形で展開されています。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。