心理テストという言葉を耳にすることは多いかと思いますが、実際はどのようなものでしょうか。
心理テストという言葉は実は専門的な用語ではありません。
病院やカウンセリング・ルームで実施されるのは「心理検査」とよばれています。
そのため、インターネットや本などに掲載されているものは「心理テスト」であり、専門機関で実施される正式なものを「心理検査」であると考えるよいでしょう。
「心理検査」と「心理テスト」の一番の違いが何かというと正式な「心理検査」の方は気軽に実施するものではないということです。
一般的に実施されることの多い心理検査は、医療機関で実施した場合は医療保険の対象となるものが多く存在します。
そして、精神疾患の診断や重症度・原因、ストレスや身体的な問題などを明らかにするために実施されることが多いものです。
ただし、検査内容のむやみな公開を防ぐため、専門家以外には販売が禁止されています。
そのため、そもそも一般の方は購入することはおろか、見ることもできませんし、本やインターネットに転載することも原則禁止されています。また、心理検査には以下のような販売規則があります。
販売基準レベルA: 保健医療・福祉・教育等の専門機関で心理検査の実施に携わる業務に従事する方
販売基準レベルB: レベルAの基準を満たし、かつ大学院修士課程で心理検査に関する実践実習を履 修した方、または心理検査の実施方法や倫理的利用について同等の教育・ 研究を受けている方。
販売基準レベルC: レベルBの基準を満たし、かつ心理学、教育学または関連する分野の博士号、心 理検査に係る資格(臨床心理士、特別支援教育士、学校心理士、臨床発達心理士)、医療関連国家資格(医師、言語聴覚士等)のいずれかを有する方、あるいは地方公務員心理職、国家公務員心理職(家庭裁判所調査官等)の職で心理検査の実施に携わる方。
これらの基準に満たない方は、原則として購入も実施もできないわけです。
では、なぜこのような厳しい基準を設けているのでしょうか。
たとえば、アンケート形式の心理検査の場合、同じ内容を2度も3度も「目にした」「回答した」のであれば、回答者は「前に見たことあるヤツだ」とか「前回はどう答えたっけ?」などを想定した上で回答する可能性があります。
その場合、初めて目にする・初めて回答するという場合とは結果が異なってしまうわけです。
また、知能検査や発達検査などの基本的に子どもを対象として実施する検査の場合、同じ検査を複数回実施すれば、その度に子どもは検査内容を学習し、検査結果が変化してしまいます。
つまり、心理検査とは、何度も手軽に実施できるものではなく、気軽に見ていいものでもないということなのです。
心理検査は病気の診断や重症度の判定、知能や発達状態、ストレスの測定や性格傾向の把握などに利用されています。
これらは非常に重要なことなので、結果に間違いがあったり、結果が歪んでしまうようなことは避けなければなりません。
心理検査は真面目で正式なもの、インターネットや本に掲載されている「心理テスト」はあくまで“遊び”レベルのものであると考えた方がいいでしょう。
では、正式な心理検査とは、どのように作られるのでしょうか。アンケート形式の心理検査の場合は、基本的に以下のような手順で作られます。
⑤の「内容を検証する」では、細かくは以下のような事柄について確認します。
だからこそ、気軽に実施したり、ましてやインターネット上に公開するなどは原則禁止であり、大切に扱わなければならないのです。
この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。