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こころ検定(文部科学省後援)の1級・2級・3級・4級どのレベルを目指したら良い? 

2022.12.8
  • 心理学

こころ検定の問題って難しい? 

こころ検定の問題や難易度は、どのようなものなのでしょうか。
こころ検定は全部で4つの級で構成されています。

こころ検定4級・3級

4級と3級は基礎心理学の内容を多く、基礎教養としての心理学を学ぶものとなっています。
従って、こころ検定4級とこころ検定3級は心理学の初学者向けといえるでしょう。
なお、こころ検定4級とこころ検定3級は便宜上、級の数字は異なるものの、こころ検定4級よりもこころ検定3級の方が難易度が高い、というようなことはありません。
ただし、こころ検定4級は「自分自身の心について理解を深める」というコンセプトであり、こころ検定3級は「自分自身の心を成長させる」というコンセプトという、コンセプトの違いがあります。 

こころ検定2級・1級

こころ検定2級(メンタルケア心理士)とこころ検定1級(メンタルケア心理専門士)は、3級・4級よりも難易度が上がります。
そして、カリキュラム的にも基礎教養から、他者支援のための専門知識へとレベルが上がっています。
こころ検定2級(メンタルケア心理士)とこころ検定1級(メンタルケア心理専門士)は心理カウンセラーを目指す人のための検定というニュアンスもあるので、自分自身の興味・関心という目的だけでなく、他者のメンタルヘルスを改善・回復させ、心理的な支援を実施するという目的が含まれてくるわけです。
さらに、こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)の試験はCBT試験だけではなく、CBT試験合格後には、面接試験もあるため、最終的には2つの異なる形式の試験に合格しなければならないというものになっています。 

目指す目標級のおすすめは?

前述のように、こころ検定は各級によって出題される分野が異なります。
従って、おすすめとなる目標級は、受験される方の状態と目的によって異なります。

まず、心理学の初学者の方の場合は、こころ検定4級、こころ検定3級からチャレンジしてみることをおすすめします。
この2つの級は基本的に基礎心理学を中心としているので、初学者向けであるといえるでしょう。

そして、こころ検定4級、こころ検定3級に合格できた方、もしくは既にどこかで心理学を体系的に学んだことがあるという方、そして、心理カウンセラーなどの心理支援職やメンタルケアの専門家を目指されている方は、こころ検定2級(メンタルケア心理士)やこころ検定1級(メンタルケア心理専門士)を受験することをおすすめします。 

こころ検定で心理学を学ぶ自分の目的は?

こころ検定の受験を通じて、心理学を学ぶ場合、合格することが目的ということが大前提にあるかと思います。
しかし、心理学は自分の日常生活にも活かせる知識が豊富なものなので、是非、こころ検定を通じて、自分の生活に役立つ知識を身につけていただければと思います。
では、まずはこころ検定4級で取り扱う分野について解説していきたいと思います。 

こころ検定4級で取り扱う分野

  1. 学習心理学
    学習心理学は行動に関する心理学であり、より適切な行動の増加・維持や不適切な行動の減少・消去に役立てられています。
    これは行動療法として、カウンセリング場面でも活かされていますが、より日常的な仕事やスポーツなどの場面にも活用されており、これは応用行動分析とよばれています。
    応用行動分析には、禁煙・ダイエット・貯金などの、私たちが「苦手」とする行動を習慣化させる方法などが含まれています。
    学習心理学を勉強することで、日常生活をより豊かなものにし、自分で自分をコントロールできるようになる可能性が高まります。 
  2. 認知心理学
    認知心理学が取り扱うのは記憶・思考・判断・評価・推論などの人間の認知機能です。
    人間の認知機能は“なるべく早く”、“なるべく労力をかけずに”、情報を処理しようとする傾向があるため、誤りや歪みなどが発生することが多いということが判明しています。
    認知心理学は人間の陥りやすい誤りや歪みを研究によって明らかにすることで、それらを未然に防いだり、より正しい方向へ導くサポートをすることが可能となると考えられます。
    認知心理学について勉強することで、情報処理能力が向上し、問題解決能力を向上させることができます。
    これは、知能が向上するというよりも、自分が陥りやすい「思考のワナ」に気づきやすくなり、間違った判断を回避することができるようになるというニュアンスです。
    認知心理学の知識は、私たちの生活をよりスマートにしてくれるわけです。 
  3. 生理心理学
    生理心理学は人間の【身体】・【精神】のつながりを正確に理解し、それを数値化・可視化して、誰でも自分の現在の状態を分かり易い方法で確認できるようにすることを目指しています。
    これは、身体状態・精神状態の正確な数値化・可視化は、病気の診断や治療だけではなく、予防においても非常に重要な示唆を与えてくれるものであると考えられます。
    生理心理学を勉強することで、ストレスと自律神経の関係性や、ストレスと病気の関係性に関して、科学的に正しく理解することができます。
    そして、自分自身で心身の健康状態を維持させるセルフケアのスキルを身に着ける上でも、生理心理学の知見は重要なものとなるでしょう。 
  4. 知覚心理学
    知覚心理学は目・耳・鼻・舌・皮膚という、私たちの生活にとって重要な五感に関する心理学です。
    知覚心理学について勉強することで、私たちは世界をどのように感じ取っているのかということをより正確に理解することができます。
    そして、目や耳などの健康がいかに重要なのかということも、同時に理解できるのではないかと思います。
    目や耳の健康を良好な状態で維持することができれば、ある程度、高齢になったとしても、より良い生活を送ることができると考えられます。 
  5. 社会心理学
    社会心理学は他者との関係性や集団と個人の心理的過程の違いについて、様々な知見を与えてくれる分野です。
    また、社会心理学は、“今、社会で起きていること”が“なぜ、起きているのか?”について、心理学的な観点から研究し、個人の心理的過程がどのように集団へと広がり、最終的に地域や国などの社会へと拡大していくのかを正確に理解することに役立てられています。
    さらには、1対1などの少数の集団においても、より良いコミュニケーションを図るにはどうすればいいのかという知見も与えてくれるものです。
    社会心理学について勉強することで、円滑なコミュニケーションを図る方法を学ぶことができます。
    そして、常に自分と相手を尊重した態度で接することもできるようになるでしょう。
    これはビジネスの場面でも重要な要素であり、職種や業種を限定せず、あらゆる仕事の場面で活用できるスキルを身に着けることができるのではないかと思います。 
  6. 感情心理学
    感情心理学は「気持ち」というものについて、科学的に正確な理解を促進する知見を有しています。
    そして、感情心理学を勉強することで、自分の感情や他人の感情を正確に理解することができるようになります。
    人間は他者の感情というものを重視する生活を送る生物であるとされています。
    これは社会生活全般において、感情理解というものが非常に重要であるということを意味しています。
    また、怒りや不安、抑うつなどのネガティブな感情に、いかに振り回されないようにするかについても学ぶことができます。
    自分で自分の感情をコントロールするということも、セルフケアの観点からは非常に重要であり、感情心理学の知見はそこにも活かすことができます。 

こころ検定3級で取り扱われる分野

  1. 発達心理学
    発達心理学は人間の精神的な発達過程について勉強します。
    発達心理学を勉強することで、様々な年代の「こころの動き」を科学的根拠に基づいて正確に学ぶことができます。
    たとえば、親は子どもの養育に関する知見を得ることができ、子育てに知識を役立てることができます。
    また、発達心理学は自分と異なる世代の人との円滑なコミュニケーションに役立ちます。
    従って、幼稚園や保育園の先生、小中高の先生、介護福祉スタッフなどのように自分とは異なる年代の人と関わることの多い業務に従事している職業の方にとって、発達心理学の知見は非常に重要な知識を与えてくれるものとなっています。 
  2. パーソナリティ心理学
    パーソナリティ心理学は人格・性格の分類や特徴、傾向について勉強します。
    パーソナリティ心理学を勉強することで、自分自身の性格や他人の性格について、科学的根拠に基づいて正確に学ぶことができます。
    つまり、パーソナリティというものを通じて、自分自身を知り、他人を知ることができるわけです。
    特に自分の考え方・物事の捉え方の「クセ」を知るということは、日常生活や他者とのコミュニケーションにおいて非常に重要です。
    そして、自分が普段、無意識にしてしまっている言動や行動の裏にある「パーソナリティ」を知ることで、日常生活をより豊かなものにすることができるわけです。 教育心理学
    教育心理学は授業の構成・評価やテスト・試験の問題の作成方法、何かを学ぶということのメカニズムについて勉強します。
    教育心理学は大学の教職課程などにおいては必須の授業となっています。
    従って、小中高の先生になることを目指している方にとっては、非常に重要な知識が含まれています。
    また、普段「テストを受ける側」であることが多い私たちですが、何かの機会に「テストを作る側」になった際、教育心理学の知見は非常に役立つものになるでしょう。 
  3. 健康心理学
    健康心理学では、様々な基礎心理学の内容を応用的に展開させることで、心身の健康について勉強します。
    健康心理学と臨床心理学は似ている部分、共通している部分も多いですが、決定的な違いは、健康心理学が予防や再発防止という観点から成立しているという点です。
    臨床心理学が「悪い部分を治す」というニュアンスが強いのに対して、健康心理学は「良い部分を見つける・強みを伸ばす」というニュアンスが強いものです。
    健康心理学について学ぶことで、心身の健康に関するセルフケアの知識を身につけ、普段の生活からリフレッシュすることができるようになります。 

こころ検定2級(メンタルケア心理士)について

こころ検定2級(メンタルケア心理士)は公式テキストが3冊ありますが、その中では、前述の生理心理学・認知心理学・知覚心理学の内容も掲載されています。
それに加えて、こころ検定2級(メンタルケア心理士)からは、臨床心理学の内容が追加されています。
臨床心理学では、カウンセリングや、心理療法、心理検査法について学びます。
臨床心理学は、基礎心理学を学び、さらに他の応用心理学を学んだ上で、それらの知識を十分に理解した状態で学ぶというステップを経るものとなっています。
臨床心理学を学ぶことで、必ずしも心理カウンセラーになれるとは限りませんし、逆に言えば、臨床心理学を学んだ人は必ず心理カウンセラーにならなければならないというわけではありません。
あくまで、専門的な知識として、臨床心理学は人間の心身の健康がどのような過程で悪化し、どのような過程で改善していくのかというプロセスを科学的に示してくれるものとなっています。
臨床心理学を学ぶことで、人間の心理・精神というものの真髄を理解することができます。
これにより、基礎心理学・応用心理学・臨床心理学という3つの心理学分野を網羅的に勉強したことになり、これをもって「心理学を学ぶ」というものがひと段落するということになります。 

こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)について

こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)ではよりレベルの高い臨床心理学に関する分野を勉強するとともに、産業・組織心理学家族心理学コミュニティ心理学などについて公式テキストに掲載されています。 

  1. 産業・組織心理学
    産業・組織心理学では、職務適性や採用人事、仕事とストレスの関係などについて学ぶことができます。
    社会に出て仕事をするということは、様々な課題や困難に直面することになります。
    また、職業・業務内容が異なる場合、課題や困難も異なってきます。
    産業・組織心理学を勉強することで、自分と仕事の関係を再確認し、できる限り高いパフォーマンスで仕事をするためには、どうすればよいのか、できるだけ少ないストレスで仕事をするためには、どうすればよいのかなどについて知識を活かしていくことができます。 
  2. 家族心理学
    家族心理学では、一人の人間としてではなく「家族」という集団単位での精神的な変化や発達について勉強します。
    家族心理学を学ぶことで、個人としての自分だけでなく、家族の中の自分、家族の中の役割というものを正確に認識することができるようになります。
    そして、特に家族の中の自分というものが、年齢を経たり、社会的な立場が変化する中で変わっていくということを理解し、家族内における適切な役割を身につけることができるようになるわけです。
    また、家族心理学は子育てや夫婦関係、高齢の両親との関係などについて、科学的な根拠に基づいて理解し、実際の家庭生活に活かすことができます。  
  3. コミュニティ心理学
    コミュニティ心理学は、地域コミュニティでの活動や、いわゆる他職種連携やコンサルテーションという活動に関して勉強します。
    地域での活動も他職種連携も共通して、様々な背景や専門知識を持つ人同士で協働するという特徴があります。そこで、専門家同士で円滑に連携する必要があります。
    コミュニティ心理学は、こういった人間同士の連携を円滑にし、場合によっては新たなサービスの確立・普及などの社会的にポジティブな影響を及ぼすことができる場合もあります。
    また、コミュニティ心理学はスクールカウンセラーの活動において必須の内容となっており、学校などの教育現場で心理カウンセラーが専門家として仕事をする際にも重要なものとなっています。 

このように、こころ検定では、各級において様々な心理学について学ぶことができます。その中で、それぞれの心理学分野に応じた「生活の知恵」というものを獲得することもできるわけです。 

こころ検定1級・2級・3級・4級の合格ラインについて

別のコラム「こころ検定(文部科学省後援)の難易度や合格率はどうなの?」で記載していますのでそちらをご確認ください。

いかがだったでしょうか。このコラムを通じて、こころ検定とは何かということを知っていただければ幸いです。
そして、興味・関心を持った方は、是非、こころ検定の受験を考えてみていただければと思います。 


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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